『中谷彰宏の人生道場』テーマ第4弾は「リーダーシップ」です。ひとくちに「リーダー」と言っても、部下に好かれるリーダー、そうでないリーダーなど様々なタイプがいます。その違いはいったいどこにあるのでしょう。これから紹介するのは、「部下がなかなかついてきてくれないリーダー」「部下をリーダーに育てたいリーダー」「リーダーの勉強を今のうちからしておきたい部下」のために書いた言葉です。これらの言葉を活かし、「この人にほめられたい」と部下から言ってもらえるリーダーを目指してください。

厳しいリーダーに、
部下はついてくる。

 怒ることは、勇気が要ります。できれば、面と向かってではなく、メールで怒りたいのです。

 でも、これは現場のスタッフからすると、逆に何か冷たい感じがします。

 1回怒って嫌われる関係ができたほうが、仲よくなれます。1回この体験をすると、関係が一皮むけるのです。

 私もよく厳しい話をします。確かに、もう少し好感度がアップする言い方もあります。でも、「最低ですよ。運気が下がっています」から始めるのです。

 ズバッと言う人が誰かいなければならないと思うからです。

 「明らかにがんだけど、言ったら嫌われる」と遠慮するお医者さんがいたとしたら、困ります。患者からすると、はっきり言ってもらって対応策を聞きたいのです。

 お医者さんは、冷たいぐらいの人のほうが人気があります。クールにストレートに言うから、安心してついていけるのです。

 チームのスタッフに接する時も同じです。厳しく言うと、嫌われるリスクは当然あります。そのリスクを背負うことが、代表取締役・リーダー・指揮官の使命です。

 実は、一番嫌われる人は怒ってくれない人です。「あの人は感じいいけど、いざとなったら、優柔不断でついていけない」と言われます。これは一番つらいです。

 恋愛でいうとわかりやすいです。モテるタイプの男性はポンポン言う人です。下手下手に出ていると、いざという時に女性はついていきません。

 今は特にむずかしいです。親も先生も怒らないので、怒られた経験がないのです。今の子供たちは、誰か怒ってくれる人を待っています。

 私が担当しているビジネススクールの生徒には、様々なビジネスマンや社長さんがいます。

 少し厳しく言いすぎたかなと思っていると、終わってからのアンケートで、必ず「もっと厳しくやってほしい」と書かれます。

 厳しくやったら、みんな半泣きです。めちゃくちゃへこんで、社長さんが「来週休みたい。何か病気にならないかな」と言っているのです。

 でも、へこんだ人のほうがぐんぐん伸びていきます。

 嫌われないように気を使っていると、人は伸びないのです。

【人がついていくリーダーになるために その8】
叱って嫌われることを、恐れない。


<今回をもちまして、当連載「中谷彰宏 人生道場」は終了になります。9ヵ月の長きにわたり、ご愛読いただきありがとうございました>