米ウォルマート・ストアーズ傘下の西友がネットスーパー事業の見直しへ動き出した。

 西友は日本のネットスーパーの草分け的存在で、ウォルマートの子会社になる以前の2000年から事業をスタートさせた。インターネットで受けた注文データを客の最寄り店舗に飛ばし、店舗従業員が店の陳列棚から該当商品をピッキングして箱詰めし、注文客の自宅まで配送する。このビジネスモデルは、後発参入のイトーヨーカ堂やイオンもほぼ同じである。

 だが、西友の事業展開エリアが首都圏に限定され、ネットスーパーの実施店舗は47店、登録会員数約22万人(10年2月末現在)にとどまっているのに対し、07年から新システムを導入してネットスーパー事業の本格拡大に乗り出したヨーカ堂では、実施店舗123店、会員数約61万人(3月末現在)にまで伸びており、事業展開エリアは北海道から広島県にまで広がる。11年2月までには実施店舗を150店にまで増やす計画だ。

 イオンもネットスーパー実施店をグループ4社で19都道府県、87店舗(同)にまで増やしている。

 後発組に完全に置いて行かれた感のある西友だが、今年2月に西友の最高経営責任者(CEO)に就任した野田亨氏は、ネットスーパー事業の刷新を明言しており、巻き返しを図る腹づもりだ。

 その背景にはウォルマートが世界規模で進めようとしているネットビジネスの拡大戦略がある。ウォルマートは今年1月、「Global.com(グローバル・ドットコム)」と呼ばれる新組織を立ち上げた。

 これはウォルマートが事業展開する各国共通のネットビジネスのプラットフォーム(IT・物流基盤)を構築し、早期に水平展開を図るための組織だ。