新型コロナウイルス対策で前代未聞の入試に
仮に5月いっぱいで緊急事態が終わったとしても、感染の第2波や第3波がいつ訪れるかによって、中学入試は大きな影響を受ける。
この秋に第2波が襲った場合、志望校を決める上で一番大切な模試が実施されない可能性が高い。そうなると、客観的な裏付けを欠いたまま入試に突入することになりかねず、志望校選びは併願校も含め、極めて難しい判断を迫られることになるだろう。
では、学校の現場では現在、どのような検討が進んでいるのだろうか。
「大人数を1カ所に集めての入試は実施できないでしょう。栄東(埼玉)や市川(千葉)のように大きな会場を利用しての入試は別の実施形態を迫られています。また、東京や神奈川の人気校では1回の入試に1000人ほど集まるところも少なくありません。隣の受験生と2メートルの間隔を開けてとなると、1回の入試の受験者数をこれまでの3分の1、4分の1に制限することが起きそうです」
これは1回の入試を複数回に分散させるということだ。2月1日に1000人集まっていた学校が、その日の午後にも実施、2日も実施といった具合に分けることになる。午前入試が1回では終わりきれないとなると、2020年入試で人気だった午後入試をどのように実施したらいいのか、難関校の併願校として伸びた学校などは悩むことになりそうだ。受験生にとっても、併願校選びは複雑になるし、希望の入試日を巡り、し烈な争いが起きるかもしれない。
「30分以上一緒にしないという観点から、試験時間の短縮も検討されています」
これまで1科あたり50分前後の試験時間だったが、それが30分などに短縮されるかもしれないというのだ。併せて、試験科目数の削減の動きも出ているようで、午前入試の終了時間が午後2時頃だった学校も文字通り午前中に終了してしまう。午後入試の選択肢が増える可能性も出てくるが、先述した理由により、入試日程の複雑化は避けようがない。
もう1つの可能性としては、複数の回の分散を2月1日と2日ではなく、翌週の8日などに繰り越すという対処法もある。そうなると、2020年に顕著だった短期決戦志向が見直され、大学入試並みの長丁場になるかもしれない。子どもの集中力と体力が例年以上に問われることもありうる。