公立校優位はいつまで続くのか

 景気動向と中学受験の志願者動向は同じように動いてきた。不景気になれば、経済的な事情から中学受験を諦めて公立に流れ、公立校の合格力が上がる。ところが、コロナ禍での公立中の対応の厳しさを眼前にした保護者が、21世紀を生きる力を子どもにつけさせるため、経済状況が芳しくなくても私立中高一貫校に流れる傾向が、ここに来て強く見られる。

 22年の首都圏中学受験は、空前の志願者増がほぼ確実な情勢にある。とはいえ、増加分を吸収するのは中堅・中位校が中心となり、難関・上位校の受験生が大きく増加するというわけでは必ずしもなさそうだ。それでもこれから先、首都圏の公立校がいまの勢いをいつまで保てるかは保証の限りではない。

 茨城のように県立進学校のほとんどを中高一貫校にしてしまった例は別として、公立の中高一貫校は、ならせば5倍程度の実倍率まで緩和してきている。都立の場合、小石川を除けば、旧学区の2番手校が都立一貫校の中心である。県立中高一貫校が伊奈総合のみの埼玉が今後どうするのかも注意される。国公立難関大への合格者が急速に積み上がるということも、なかなか考えづらいこともある。