入学の決め手になった「みや林」
原口 小学校舎と中高校舎の間には、創立以来守り育ててきた武蔵野の雑木林「みや林」があります。中学受験のとき、鳥の観察ができる場所があるかを学校選びの基準の一つにし、「みや林」を見て受験した生徒が本校に入学したその日から観察を始め、生物部に入部。彼によると「みや林」には、70種類ほどの鳥が飛来しているそうです。どの樹にどのような鳥が来るのか考察を巡らせ、中学の自由研究で成果をまとめました。
日本動物学会や日本鳥学会の高校生の発表部門にエントリーし、賞をいただきました。彼を慕って生物部に入る者もいて鳥ブームが起きているようです(笑)。鷹の一種のツミが巣を作ったときには、何とかその巣が残るよう教員の協力を求めてきたこともあります。そのときは樹に近づけないよう囲いを造りました。
――鳥ブームですか(笑)。
原口 鳥つながりで申しますと、シジュウカラが言葉を話しているのではないかという研究をしている生物部のOBもいます。現在は京都大で特定助教を務めている鈴木俊貴(としたか)さんで、折に触れて後輩の指導にも当たってくれています。
卒業生のネットワークという点では、これも鳥関連ですが、シマフクロウの研究をしている生徒がいます。研究に関してOBに相談しましたところ、「この場所で自由に研究していいぞ」と応援してもらったり、写真を趣味にしているOBからもアドバイスをもらったりしたそうです。
――他にも、桐朋祭で人気の展示はありますか。
原口 これは部活ではなく桐朋祭の有志参加団体ですが、桐朋電子研究所(通称「電子研」)も人気がありますね。電子工作をしたいという生徒が、関心のあった数学科の教員と一緒に始めた同好会的な集まりです。
廃材を利用して、輪ゴムを飛ばす射的ゲームを作ったりして、桐朋祭で披露しています。企業対象の物づくりの祭典にも、高校生部門で招かれました。現在は二足歩行ロポットづくりを進めています。
――ロボットづくりにはおカネがかかりますでしょう。
原口 卒業生は資金面でも応援してくれています。同窓会による「夢チャレンジプロジェクト」が数年前にできました。支援を希望する生徒が手を挙げると、同窓会の方々による審査を経て、1人最大30万円が支給されます。先ほどご紹介した鳥の定点観測の生徒も含め、毎年7~8人が援助を受けて活動しています。
支援対象はこうした文化系の活動だけではありません。本校は、運動能力など特定の技量、能力を持つ生徒を受け入れる入試制度は持っていないのですが、大人の十種競技に当たる八種競技のインターハイで2連覇するような生徒がいます。彼も体のメンテナンスなどのためにこの資金援助を受けています。
――それは相当にすごいですね。