井手ゆきえ
夏は「最低気温」に注意を!熱帯夜で死亡リスクが増加
近年、地球規模の温暖化の影響で、冬期と夏期の死亡率の差が縮まっている。冬期の死亡リスクは寒暖差による血圧の乱高下の影響が大きいが、夏期の死亡リスクは高過ぎる気温が原因の熱中症だ。天気予報の最高気温を見て対策を立てる人も多いだろうが、本当に気をつけたいのは「最低気温」らしい。

50歳未満の若年性大腸がん増加中、「4つの初期症状」とは?
近年、世界的に50歳未満で発症する「若年性大腸がん」が増えている。肥満と高脂肪食の影響や、抗菌薬の過剰投与による腸内細菌叢の変化などが原因とされているが、確かな結論はでていない。米ワシントン大学セントルイス校の研究グループは、早期発見につながる若年性大腸がんに特徴的な初期症状を調べている。

その一杯で死亡率が上昇、2型糖尿病患者は加糖飲料に要注意
そろそろ梅雨の季節だ。蒸し暑さと喉の渇きを癒やすには甘い清涼飲料水が定番だが、特に2型糖尿病の方は、その1杯を無糖のお茶や水、もしくはコーヒーに置き換えよう。研究者は「糖尿病の患者さんは、水分補給の方法にもこだわるべき」としている。

歯と口の健康週間、オーラルフレイルは重大な健康リスクになる
毎年、6月4~10日は「歯と口の健康週間」だ。近年は嚙む、のみ込む、話すという口腔機能の低下を「オーラルフレイル」と呼び、老化の初期サインとして、適切なケアを勧める動きが盛んだ。

肩こりには「やさしい刺激」を、痛みや可動域も改善
頑固な肩こりにはやさしい刺激が効くらしい。東京都健康長寿医療センター研究所の研究チームはこれまで動物実験などで、皮膚へのやさしい刺激が脊髄のオピオイド受容体を活性化させ、痛み刺激の信号を妨害することを報告してきた。研究チームは慢性的な肩こりの痛みにも皮膚刺激が有効だと仮定し、これを検証した。

「肥満症」治療薬が登場、外科手術に匹敵する効果の一方で重大な副作用も
日本でも「肥満症」を適応としたセマグルチド(商品名ウゴービ)が承認された。糖尿病の治療薬として使われている薬剤と同じ成分で、週1回の皮下注射剤だ。最低用量から段階的に増量し、糖尿病治療薬の2倍以上に相当する最大2.4㎎まで増やすことができる。

HPVの「9価」ワクチンが公費で接種可能に、対象は小6~高1女子
4月から、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染を予防する9価HPVワクチンが公費で接種できるようになった。9価ワクチンは、ハイリスク型のうち9種類の感染を防ぐ。すでに定期接種が行われている2価、4価ワクチンよりも高い感染予防効果(8~9割)が期待できる。

早期の前立腺がん、治療しても経過観察でも死亡率は変わらず【英オクスフォード大調査】
男性が新規に診断されるがん種の第1位は前立腺がんだ。進行・増殖が遅いがんの代表で、5年生存率はほぼ100%、10年生存率も9割を超える。それだけに診断後の治療に迷う。がんが前立腺の内部にとどまる「限局性前立腺がん」での治療の選択肢は、外科的な前立腺全摘出術、放射線治療、そして定期的に検査を受けながら無治療で経過を診る「積極的監視療法(監視療法)」の3つ。

スキルス胃がんと飲酒の関係、お酒に弱い人は要注意!
早期発見で長期生存がかなうイメージがある胃がんだが、死亡者数は男性が肺がん、大腸がんに次いで3位、女性も第5位と決して侮れないがんだ。特に、スキルス胃がんに代表される「びまん型胃がん」は、早期発見が難しいうえに、既存の治療法では経過が思わしくない。飲酒が胃がんの発症リスクになることは以前から指摘されており、研究者は「お酒に弱い人が飲酒をする際は、注意が必要」としている。

大学生の健康情報リテラシー、85%が「問題あり」か「不十分」
コロナ禍で分かった健康リスクのひとつに、ヘルスリテラシー(HL)の低さがある。HLは、ちまたに溢れる健康情報から、科学的に適正なものを選択し、自分と周囲の健康を守る行動に結びつける能力だ。情報弱者はさておき、情報収集に長けた若者はどうだろうか。

性的欲求低下障害に対する、神経ペプチド「キスペプチン」の効果は?
先進国全体で出生率が下がりつつある。歯止めをかけたい行政は、あの手この手を試しているが芳しくはない。生物として「治療」を期待する向きもある。その一つが性的欲求低下障害(HSDD)に対する、神経ペプチド「キスペプチン」の投与試験だ。

愛犬にも「がんの血液検査」を、7歳前後を目安に
愛犬の寿命が延び、人間と同じような健康管理を必要とする時代になった。従来、犬の「がん検診」は問診や触診頼みで早期発見が難しかった。しかし近年、体液に含まれるがん細胞やがん由来の物質を解析する「リキッドバイオプシー」が実用化されたことで、血液検査による早期発見が期待されている。

睡眠と緑内障の関係は?無呼吸症候群にも要注意
日本人の中途失明原因の1位は緑内障だ。視野の一部が徐々に欠ける病気で、40歳以上の5%、60歳以上の1割が罹患していると推測される。中国・四川大学西中国病院の研究グループは、睡眠時間の長短、クロノタイプ(朝型・夜型)および、いびきや日中の眠気など睡眠の質を表す指標と、緑内障との関連を検討した。

喫煙によるコロナ重症化リスク、紙巻きと加熱式を併用者で高くなる
新型コロナウイルス感染症の位置づけが5類へ変更される。「感染する/させる」機会が増え、診療現場の混乱は必至だ。せめて重症化の芽は摘んでおきたい。喫煙も重症化リスクだが、加熱式たばこの情報が少なかった。そこで大阪公立大学の研究者らは昨年2月、国内で発売されている加熱式たばことCOVID-19重症化リスクとの関連を調べている。

青学陸上部所属ランナーの腸内細菌を調査、「ある菌種」が走行タイムを改善
近年、腸内細菌の多様性が持久運動のパフォーマンスを向上させるとの報告が増えている。慶應義塾大学の研究グループは、青山学院大学陸上競技部(長距離)所属の48人と一般男性10人の腸内細菌叢を比較した。

遠隔手術はここまできた!250km離れた患者のがんを摘出
コロナ禍の影響で遠隔診療への扉が開かれた。今は診断や慢性疾患の経過観察、医療相談が主だが、最終目標の一つに遠隔ロボット手術がある。昨年末、専門誌に掲載された中国と米国の研究者による「実装検証」では、中国山東省・青島大学附属病院の泌尿器専門医が5G(第5世代移動通信システム)を介して、遠隔ロボット手術を実施した。

2月22日は「頭痛の日」、片頭痛治療は予防の時代へ
今月22日は「猫の日」だが「頭痛の日」でもある。一口に頭痛といっても、基礎疾患によらない「一次性」と脳卒中や感染症など原因が明らかな「二次性」に分類される。一次性頭痛の代表は片頭痛だ。国内の患者数は800万~1000万人と推計され、男女比では1対4と女性が多い。この数年、片頭痛の治療に大きな変化が訪れている。

水分補給でアンチエイジング、慢性疾患リスクも減少!?
飲み水を制限してマウスを飼育すると臓器の老化がより早く、およそ6カ月──人間でいえば15年分の寿命が縮む。慢性的な軽度の脱水は老化を早めるらしい。人間ではどうだろう。

「低体重」は重大な健康リスク!6種類の心血管疾患で検証
コロナ禍の影響で肥満の健康リスクが注目されたが、低体重は急性の心血管疾患(CVD)で院内死リスクになるようだ。神戸大学の研究グループは、急性のCVDで緊急入院した人たちが治療のかいなく院内で死亡する確率と、体格指数(BMI)との関係を調べている。

階段の1段抜かしなど高強度の身体活動、「1~2分×1日3回」で死亡リスクが低下
健康のための「運動のススメ」には辟易するだろうが、ちょいと耳を傾けてほしい。日常生活で単発的に発生する高強度の身体活動(VILPA)──たとえば電車に乗り遅れそうになり、駅の階段を1段抜かしで駆け上がるなど──と死亡リスクとの関連を調べたところ、運動強度が高いほど、死亡リスクが低下することがわかった。
