
莫 邦富
第286回
中国国内で、経済発展の原理を無視した無謀な開発が進んでいる。たとえば蘭州新区の今年3月末の統計によれば、新区ですでに完成している住宅面積は約730万平方メートルで、在庫化している分譲住宅は600万平方メートルだという。

第285回
中国が海外の港湾に基地を作る作戦に力を入れている。そのなかの重要なプロジェクトはパキスタンのグワダル港の建設と運営権の確保だ。2013年にグワダル港の運営権はシンガポールから中国企業が引き継いだが、そのことによる影響は世界的なものとなる。

第284回
経済発展のスピードと収益を求めるこの数十年間、中国社会はコツコツと働く職人の技と存在を見下し、表層的な豪華さや賑やかさに走ったが、この1、2年でその反動と反省が現れている。上海のある葱油餅の職人が注目を集めているのがその象徴と言える。

第282回
ここ数年、中国各地で農業に対する関心が高まっている。その象徴的人物、陳統奎という36歳の青年が私の提案を受け、中国の若い農業経営者二十数名を率いて農業視察のために日本にやってきた。

第281回
現在、中国で建設が進められている超大型プロジェクトがある。香港・珠海・マカオを結ぶ大型海上自動車道である港珠澳大橋だ。橋・人工島・トンネルが一体となったこの海上橋は、全長55kmと世界最長を誇る。

第280回
中国の不動産が不合理に高価格な現状は、中国の実体経済の発展を脅かしている。そう認識し、批判的に見ている人は多い。あまりの地価高騰から、主要都市に事業拠点を構えることが企業経営を圧迫する要因になりかねない事態にもなっている。

第279回
高知にある「ほにや」という日本でも知る人ぞ知る和雑貨のブランドがが、中国に初上陸し、わずか4日間で知名度が0から少なくとも1000万人に認知されるまでになった。4日間でどのようなマジックを巻き起こしたのか?

第278回
中国での教育がらみの話題に、またひとつ新しい話題が増えた。「独立系教師」と呼ばれる現在の教育体制とは所属関係を持たない教師たちの登場だ。わかりやすく言えば、フリーランスの教師である。

第277回
中国では、大型イベントがもてはやされている。大型イベントで消費に刺激を与え、町を興すという認識は地方政府の役人にも、企業の経営者にも深く刷り込まれている。しかしここに来て、来場者数が予想していたそれを大きく下回るという厳しい現実に直面せざるを得なくなっている。

第276回
浙江省の「雑貨の町」という呼び名で知られる義烏(イーウー)は、世界的な日用雑貨の集散地だ。筆者は14年ぶりに義烏を再訪し、変わったところと変わらないところを比較・発見してきた。

第275回
上海の高級住宅地・古北新区が塀の撤去問題で揺れている。政府の撤去計画に対して、住民は猛反発。長年に渡って公私のラインをあいまいに私有財産保護に尽力しなかった従来の政府の考え方といえるだろう。

第274回
今回の旅行は石川県の能登半島から始まったが、石川県ではWiFi整備の遅れに泣きに泣いた。人気の大型温泉旅館なのに、客室はもちろん、ロビーでもWiFiが使えないのだ。

第273回
中国の一帯一路戦略の一つである中亜高速鉄道に絡む話として、目を惹く新情報があった。中国企業が工事に参加するイラン鉄道電気化改造プロジェクトの着工にあたり、中国を出発した貨物列車が初めてイランに到着した。

第272回
日中の経済交流は主に「重厚長大」系の分野に集中してきたが、いまは「軽薄短小」系に移行している傾向が濃厚に見えてきている。

第271回
日常的に酷い医療環境に暮らしている中国人が日本を訪れ、日本の医療サービスに接すると、信じられないと連発するほど感動を覚える。日本では日常的なものが中国人観光客にとっては非日常的なものに変わっていったのだ。

第270回
「爆買い」で知られる中国人の日本製品への人気ぶりに驚いた日本企業はいまや、上海の不動産内装現場にもそのような中国人消費者の需要を満たすように求め、いろいろなところに日本製品へのこだわりが現れている。

第269回
12月にこのコラムで取り上げた悪質旅行サイトQunar.comに対し、中国の大手航空会社の4社全てが提携を一時中止し、サイト内公式ショップを閉鎖すると公表した。まさにQunar.comを封殺する作戦に出たと言える。

第268回
IMFが人民元をSDRの構成通貨として採用すると正式に決定した。しかし人民元が国際通貨になる道のりはまだまだ険しい。人民元の国際通貨としての現時点での実力は必ずしも高いとは言えない、と指摘する声もある。

第267回
Qunar.comという旅行サイトを利用してトラブルを蒙った。ネット上の対応だから、無視されたら、なかなか対応のしようもない。交渉に疲れた旅行客がつい泣き寝入りしてしまうケースも多い。

第266回
世界にはロシアの軍用機を購入する国が多い。しかし最近ロシアのスホイ30MK戦闘機を購入したインドネシアは、飛行訓練を中国で行い、そのメンテナンスも中国で行われている、と言われている。
