
莫 邦富
中国で、かつて羨望の眼差しで見られていた日本の電機メーカー。しかし、ここ数年、風当たりが強くなっている。それもそのはず。中国人スタッフをリストラする一方で贅沢をしたり、迅速な経営判断ができなかったりするからだ。

時価総額でも世界トップ10に迫るなど、中国や香港のIT企業の躍進が目覚ましい。中でも、自動運転技術を研究開発している「東軟」と「百度」には目を見張るものがある。

中国の銀行でリストラの嵐が吹き荒れている。破綻の噂まで流れるほどだ。背景にあるのは電子決済の猛烈な普及で、旧態依然とした銀行のビジネスモデルが市民から見放されたのだ。

第302回
傘下に208社の企業を抱えるコングロマリットまで形成した「金持ち村」の華西村。中国の農村の規範となっていたが、ここにきて凋落を始めている。金持ち村に何があったのか、取材した。

「日本人の骨に染み込んだ9つの問題点」と題する、日本企業とその企業文化を批判する辛辣な記事が、中国のSNSで多くの喝采を得ている。とくに、日本企業に長年勤めている中国人幹部社員、中には中国現地法人の社長を務める中国人幹部たちからも「その通りだ」「その批判は痛快だ」と拍手が送られている。憂慮すべき問題ではないかと私は考え込んでしまう。

2017年1月10日、中国企業2社が施工・運営するエチオピア・ジブチ鉄道のジブチ区間が正式に開通した。内陸国エチオピアの首都アディスアベバと紅海に面した隣国ジブチの首都ジブチ市を結ぶアフリカ初の電気鉄道である。国内経済が踊り場に来ている中国は近年、海外へのインフラ建設に積極的に参加している。

「現代ビジネス」の記事によると、今年4月1日から、中国に居住するすべての外国人を、Aランク(ハイレベル人材)、Bランク(専門人材)、Cランク(一般人員)に3分類を開始。「Cランクの外国人」に分類されて、中国から追放される日本人社員が続出しかねないということだが、これはまるで事実に則していない。

第299回
鉄道の移動においては、近年、中国版新幹線とも言われる高速鉄道の利用はたいへん人気を得ている。しかし、わずか15年前の2002年の時点で、中国はまだリニアモーターカーにすべきか、それとも新幹線のような在来技術による高速鉄道にすべきかといった論争に明け暮れていた。

第298回
約2年前のいま頃、中国のアジアインフラ投資銀行(AIIB)について、「日本はそれに加入すべきではない」といった感情的な論調が主流で、「激動する日中関係と世界関係を平心静気に見つめていこう」という私の提案は受け入れらなかった。だが今、世界各国の流れはAIIB加盟に傾いている。

第297回
昨年12月22日から24日にかけて大雪に見舞われたため、新千歳空港では一時、1万6000人もの人々が空港に足止めされ、空港は大混乱になった。そのなかで、一部の中国人乗客が騒ぎ出し、航空会社と衝突したという。この事件、真相はどうだったのか。

第296回
日本政府観光局によれば、2016年10月の訪日外客数は初めて2000万人を突破した。クルーズの寄港増加もその一因として注目されている。しかし、中国は最大のクルーズ市場になるだろうと海外のクルーズ船会社が虎視眈々と見ている中、日本勢の存在感は薄い。

第295回
中国のメディアが、2015年はクルーズ元年と騒ぎ出した。2002年から2012年までの間に、中国人のクルージング人口は毎年30%の勢いで増え続けている。2015年、中国はすでに世界のクルージング人口ランキングにおいては、7位に食い込んだ。これからは間違いなく世界最大の規模を誇るようになるだろう。

第293回
中国の都市は「一線都市」「二線都市」「三線都市」という形で分けられている。現在の一線都市は上海、北京、広州、深センの“北上広深”だが、中国経済の発展水準を維持し、不動産バブルを防ぐためにも、より多くの一線都市が必要だと言われ、ここ2年ほど各界で「新・一線都市」の話題が持ち上がっている。

第293回
スポーツ報知によると「安倍首相、トランプ氏との初会談で黄金50万円ドライバーをプレゼント」したという。安倍首相の「対トランプ外交」第1打は、まずはフェアウェーキープの順調な滑り出しとなったようだ。だが、プレゼントしたドライバーのメーカーである本間ゴルフはいま、香港市場に上場する中国系企業である。

第292回
中国はいまや、対外直接投資額の最高記録を更新し続け、純資本輸出国としての存在感をさらに高めている。また、中国の製造業の海外での大型企業買収も相次いでいるが、資金力にものを言わせ、賄賂などの方法で目的達成の近道を探そうとする中国の企業経営者が多い。企業市民としての遵法意識をきちんと持つ企業だけが、海外市場に根を下ろすことができる。

第291回
観光客などの外国人訪問客が日本を訪れて、一番感激したのはやはり日本の至れり尽くせりのサービスぶりだ。それは日本の宝物と言っても過言ではない。しかし、その質が低下している印象を著者は持っている。過剰サービスは要らないが、観光現場のサービスの後退を断固として阻止すべきだ。

第290回
中国革命ゆかりの地への「レッドツーリズム(紅色旅遊)」が中国人観光客に人気で、欧米の多くの国は中国人を呼びこむためのルート開拓を精力的に進めている。その意味では、多くの分野で歴史的に中国と繋がっている日本の地方自治体こそ、独自の観光ルート開発とそのアピールに、より工夫すべきだろう。

第289回
当コラムでも紹介したことがある上海のB級グルメ葱油餅の名店「阿大葱油餅」が、無許可営業で上海市黄浦区市場監督管理局からこれ以上の営業を禁止された。この事実が広まると、ネット世界をはじめ、大きな議論が巻き起こった。

第288回
中国は、人口ボーナス期が去り、これまで走ってきた経済発展路線に陰りが生じ、安かろう悪かろうのやり方では、企業と経済をこれ以上発展させることが困難になってきた。その中で、日本企業がもつイノベーションを学び、その技術を導入し、日本での投資や日本企業との提携ないしM&Aの希望がいたるところから出ている。

第287回
今世紀に入ってから、中国企業は海外進出を「走出去戦略」と名づけ、規模を急速に拡大し始めた。最近、中国とイランがペルシャ湾南部の「ケシュム・オイルターミナル」を共同で建設することで新たな契約を結むなど、中国は海上シルクロードの構築に合わせてエネルギーの安全保障のための基地を作り始めた。
