後藤謙次
随意契約で売り渡された政府備蓄米の販売が大手スーパーで始まると、5キロ当たり2000円台のコメを買い求める消費者が長蛇の列を作り、即完売となった。暴言を発して農相を更迭された江藤拓に代わって農相に就任した小泉進次郎は石破が期待した通りの発信力と行動力を発揮した。

6月22日の国会の会期末まで1カ月を切った。最大の焦点は野党第1党の立憲民主党が内閣不信任案の提出に踏み切るかどうかにある。

消費税減税について首を縦に振ることはない幹事長の森山と、首相、石破茂が会食をした。この「四谷会談」は今後の消費税を巡る議論を決定付けることになるに違いない。

「困っている人に手を差し伸べなければ政治の役割を果たせない」――。立憲民主党代表の野田佳彦は4月25日午後の記者会見で1年間に限って8%の食料品の消費税率を0%に引き下げる考えを示した。

「まだ何も見えてこない」――。米大統領のトランプとの会談を終えて帰国した経済再生担当相、赤澤亮正の報告を受けた首相の石破茂は周辺にこう漏らした。トランプの狙い、具体的な交渉のスケジュール感はなお不明のままというのだ。

手探りの日米交渉が始まった。相手は変幻自在、狂瀾怒濤の手法で国際社会を翻弄し続ける米大統領、ドナルド・トランプ。日本への追加関税など相互関税を発表したかと思えば、対抗措置を取らなかった国には90日間の交渉期間を与えるとの方針転換を明らかにした。

トランプ米大統領はホワイトハウスでの記者会見で、世界からの全輸入品に課す相互関税の導入を発表した。日本に課す追加関税は24%。予想されたとはいえ、国際社会全体に与えた衝撃は大きい。発表を受けて首相の石破茂は直ちに関係閣僚会議を招集した。

少数与党という脆弱な政権基盤に乗る首相の石破茂。その命運が懸かった2025年度予算が24年度最終日の3月31日夕、滑り込みで成立した。政府の予算案が衆参両院で修正された上での成立は現行憲法下では初めてのことだ。

主要メディアが3月中に実施した世論調査の全てで内閣支持率が急落した。中には危険水域とされる20%台に落ち込んだ社も出現した。そうした中で注目は国民民主党が支持率を急伸させていることだ。政党支持率の調査で野党第1党の立憲民主党を凌駕する傾向が固まりつつある。

降って湧いたような10万円商品券問題が首相の石破茂を直撃した。党内野党と呼ばれた石破が政権の座を射止めることができたのは、金権政治を鋭く批判してきたからにほかならない。その石破が「金権」ならぬ「金券」でつまずいたのではしゃれにならない。

持ち前の高い答弁能力で、首相の石破は衆院での2025年度予算案審議を乗り切ったが、参院予算委に論戦の舞台が移った3月5日、思わぬ落とし穴にはまった。事態を劇的に変えたのは、立憲民主党が参考人として招致した全国がん患者団体連合会理事の発言だった。

「馬の乗り換え」で少数与党の首相、石破茂は当面の窮地を脱した。キャスチングボートを握ったのは「103万円の壁」の見直しを提起して予算案の修正協議を引っ張ってきた国民民主党ではなく、教育無償化を求めた日本維新の会だった。

少数与党政権下での予算成立に向け、自民党が取った戦略は3党全部との個別接触だった。首相の石破茂が米大統領、トランプとの日米首脳会談を終えて帰国した直後から、回り舞台が回るようにその仕掛けの一端が姿を見せ始めた。

米大統領のドナルド・トランプとの初めての日米首脳会談。1泊3日の“弾丸ツアー”は明らかに国内外の石破を見る目を変えたのではないか。

開幕が4月13日に迫る大阪・関西万博。しかし、盛り上がりを欠いたままチケットの売り上げも伸び悩んでいる。そんな万博への肩入れが目立つのが首相の石破茂をはじめとした与党の幹部たちだ。にわかに万博成功に向けてかじを切ったかに見える政権中枢の動きを額面通りに受け取るわけにはいかない。

「トランプ劇場パート2」が幕を開けた。1月20日の就任演説でもトランプは早々に「米国第一主義」を全開させた。首相の石破茂はトランプとどう向き合えばいいのか。

通常国会の召集が1月24日に迫る。会期は150日間。延長がなければ会期末は6月22日。首相の石破茂が置かれた少数与党という厳しい状況を考えると、会期末までに何が起きても不思議はない。

2024年10月の衆院選の与党惨敗で少数与党政権に転落した首相、石破茂を巡っては「年内持つかどうか分からない」との臆測が消えなかったが、何とか年を越した。しかし、25年の新年を迎えても少数与党という厳しい現実は少しも変わらない。それでも石破の政権担当意欲は全く衰えるところがない。

#9
2024年10月の大乱戦となった自民党総裁選で、高市早苗氏を劇的に破って誕生した石破政権。ところが同月の衆議院選挙に惨敗し、早くも猛烈な逆風にさらされている。「ダイヤモンド・オンライン」の人気連載「永田町ライヴ!」の特別版として、政治コラムニストの後藤謙次が、参議院選挙と東京都議会選挙が控える2025年の政局を読み解くと共に、「特別コラム」として、25年に結党70年の節目を迎える自民党の歴史を振り返る。

韓国大統領の尹錫悦が12月3日夜に発令した「非常戒厳(戒厳令)」を巡る大混乱で、来年1月の首相、石破茂の訪韓も取りやめとなった。尹の政治生命は事実上終わったとされ、外交戦略の練り直しを迫られるのは必至だ。
