後藤謙次
第50回衆院選挙は15日公示された。石破茂(67)が首相に就任してからまだ半月。全てが異例の選挙戦が始まった。焦点は裏金問題の直撃を受けた自民党が過半数の233議席を維持できるか否か。石破が掲げた勝敗ラインは「与党で過半数」だが、選挙後の政変の可能性も否定できない。

「予算委員会を開こうと言ってくれる人が一人もいなかった」。第102代の首相に就任した石破茂は10月1日朝、臨時国会での首相指名選挙に臨む前、側近に苦しい胸の内を吐露した。そこには新しい日本のリーダーになるという高揚感はなく、自身が置かれた厳しい党内状況に対する危機感がにじんだ。

9月23日の立憲民主党の臨時党大会で代表に選出された元首相の野田佳彦は、早期の衆院総選挙を前提に臨戦態勢を宣言した。立民を追い掛けるように自民党の総裁選が展開され、政治は新しい局面に突入した。しかも前例のない与野党の第1党による「ダブル党首選」の結果、首相経験のある野党党首と首相経験のない自民党総裁が激突する初めての衆院選の構図が固まった。

9人の候補者が乱立した自民党総裁選は終盤を迎えたが、新総裁が誰になるのかが決まる前に衆院選の選挙日程が浮上するという異例の展開を示す。解散風が吹き荒れるきっかけを与えたのは総裁選に立候補した元環境相、小泉進次郎の9月6日の出馬会見だ。

自民党と立憲民主党のダブル党首選が迫る。この党首選で決まる自民党総裁と立民代表が次の衆院選で雌雄を決することになる。総裁選は9月12日の告示を前に早くも「人気投票」の様相を強めている。

首相である岸田文雄の事実上の退陣表明によって号砲が鳴った自民党の総裁レースはあっという間に“定員オーバー”の状態になった。そのきっかけを与えたのが8月15日の閣僚懇談会後の岸田発言だった。

パリ五輪の熱戦が続く中で、自民党総裁選も着実に動き始めた。しかもそれを主導したのは他ならぬ岸田だった。岸田は公の場で総裁選に触れることは一切なし。「当面の課題に全力」がその理由だが、どっこい着々と再選への布石を打ち始めた。

前広島県安芸高田市長の石丸伸二による「石丸旋風」が吹き荒れた東京都知事選挙。7月7日の投開票日から20日以上経つのに既成政党はなお終戦処理に追われている。

「この銃撃事件で“もしトラ”が“ほぼトラ”になったのではないか」(元外務省最高幹部)――。7月13日、共和党の集会で前米大統領のトランプが狙撃された。次期大統領へのトランプの返り咲きを巡って、「もしもトランプが勝ったら」と、侃々諤々の議論が続いていたが、その「もし」が事件によって「ほぼ」に状況が一変したというわけだ。

総裁選をにらんで麻生、菅の首相経験者2人が火花を散らす構図ができつつある。早過ぎる総裁選の幕開けに、自民党の元幹事長・二階俊博が言及した。二階発言に込められたメッセージとは?

9月に予定される自民党総裁選挙がにわかに動きだした。号砲を鳴らしたのは3年前の総裁選で出馬断念に追い込まれた前首相の菅義偉だった。菅は6月23日公開の文藝春秋のオンライン番組で首相の岸田文雄の退陣を要求した。

首相の岸田文雄の自民党総裁としての任期切れまで約3カ月。そろそろ総裁選の日程を固めるタイミングだが、岸田サイドの思惑も絡み合って具体的な日程検討に入らずにいる中、石破茂が再び脚光を浴びている。

自民党は、4月の衆議院3補選惨敗に始まり、静岡県知事選挙など連戦連敗の“敗戦ドミノ”が止まらない。内閣支持率の低迷からも脱し切れずにいるが、今の自民党に「岸田降ろし」の気配は感じられない。

現職東京都知事、小池百合子の独走で無風に終わるとみられていた都知事選が一転して波乱含みの展開になった。乱を呼び込んだのは立憲民主党の参院議員の蓮舫。5月27日午後2時、東京・永田町の党本部で蓮舫はいつもながらの鋭い口調で小池に切り込んだ。

四半世紀にわたって日本政治の主軸となってきた自民党と公明党による連立政権の足元が大きく揺らいでいる。自公連立政権の発足は1999年。当時の首相、小渕恵三は連立政権樹立に当たって「連立の基礎は互いの信頼関係にある」と何度も繰り返した。

大型連休中の3カ国歴訪を締めくくる4日(日本時間5日)の首相、岸田文雄のブラジル・サンパウロでの会見は、意思決定ができない岸田政権内の実態を浮き彫りにした。裏金問題が表面化して約5カ月。この期に及んで岸田の口から出たのは「改革の方向性」という言葉だったからだ。

自民党の権力闘争の象徴である総裁選は大型連休中から静かに始まる。本番に備えての仕込みが行われるのだ。過去にも連休が終わると、水面下で進んでいた動きが一気に表に出てきた。その点では今年の大型連休にも何らかの仕込みが行われていても不思議はないはずだ。ところが、今年の大型連休はこれまでのパターンとは明らかに様相を異にした。

国賓待遇の訪米を終えて意気揚々と帰国した首相の岸田文雄を待ち受けたのは、“試練の山”。帰国に合わせて実施された共同通信の世論調査では、支持率が3.7ポイント上昇したが、依然として23.8%の超低空飛行。最大の試練は4月16日に告示された衆議院のトリプル補欠選挙だろう。

自民党の裏金問題を巡る関係議員の処分でますます党内が混乱する。原理原則がないままの「場当たり処分」(自民党長老)は党内に反発、不満を生んだからだ。決定の過程では党幹部同士の私憤も表面化した。

自民党の派閥が主催した政治資金パーティーを巡る裏金問題で責任を問われる議員の処分問題が新たな段階に入った。その局面を大きく変えたのが元幹事長、二階俊博(85)の記者会見だった。
