後藤謙次
自公過半数割れの政界激変をもたらした衆院選の“戦後処理”がなお続く。与党では公明党で党首が交代した。自民党総裁の首相、石破茂も就任からまだ2カ月余。初心者マークの党首同士が、しかも少数与党でのかじ取りを担う。そして、野党側も混乱続きだ。

不安定な少数与党に立脚する首相、石破茂の悪戦苦闘が続く中で前首相、岸田文雄の言動がにわかに注目を集める。主要新聞もこぞって岸田の動向を取り上げた。

30年ぶりの少数与党という極めて脆弱な政権基盤の上に立つ首相、石破茂が奇妙な“安定”を手にしているかに見える。政界全体がすくみ合って身動きが取れない状況にあり、もちろん石破が完璧な安全地帯に身を置いているわけではない。

11月11日に召集された特別国会の衆院本会議場の光景は、自公惨敗をくっきりと浮かび上がらせ、首相指名選挙も1度では決まらず決選投票に持ち込まれた。石破が第103代の首相に選出されが、今の石破政権は「剣の刃渡り」の状況にある。

首相の石破茂の自民党総裁選挙辛勝で始まった「令和政変」は、衆院総選挙での自公大敗を経て少数与党政権という極めて不安定な政治状況を生んだ。波乱要因が内在しており、大乱世の到来は間違いない。

自民党が狙った前例なきスピード選挙の思惑は完全に裏目に出た。政治資金パーティーを巡る裏金問題に対する有権者の反発は想定をはるかに超え、しかもその影響は連立政権を組む公明党にも及んだ。大手メディアが最終盤に実施した情勢調査に基づく記事の見出しが自公苦戦の状況を浮かび上がらせた。

第50回衆院選挙は15日公示された。石破茂(67)が首相に就任してからまだ半月。全てが異例の選挙戦が始まった。焦点は裏金問題の直撃を受けた自民党が過半数の233議席を維持できるか否か。石破が掲げた勝敗ラインは「与党で過半数」だが、選挙後の政変の可能性も否定できない。

「予算委員会を開こうと言ってくれる人が一人もいなかった」。第102代の首相に就任した石破茂は10月1日朝、臨時国会での首相指名選挙に臨む前、側近に苦しい胸の内を吐露した。そこには新しい日本のリーダーになるという高揚感はなく、自身が置かれた厳しい党内状況に対する危機感がにじんだ。

9月23日の立憲民主党の臨時党大会で代表に選出された元首相の野田佳彦は、早期の衆院総選挙を前提に臨戦態勢を宣言した。立民を追い掛けるように自民党の総裁選が展開され、政治は新しい局面に突入した。しかも前例のない与野党の第1党による「ダブル党首選」の結果、首相経験のある野党党首と首相経験のない自民党総裁が激突する初めての衆院選の構図が固まった。

9人の候補者が乱立した自民党総裁選は終盤を迎えたが、新総裁が誰になるのかが決まる前に衆院選の選挙日程が浮上するという異例の展開を示す。解散風が吹き荒れるきっかけを与えたのは総裁選に立候補した元環境相、小泉進次郎の9月6日の出馬会見だ。

自民党と立憲民主党のダブル党首選が迫る。この党首選で決まる自民党総裁と立民代表が次の衆院選で雌雄を決することになる。総裁選は9月12日の告示を前に早くも「人気投票」の様相を強めている。

首相である岸田文雄の事実上の退陣表明によって号砲が鳴った自民党の総裁レースはあっという間に“定員オーバー”の状態になった。そのきっかけを与えたのが8月15日の閣僚懇談会後の岸田発言だった。

パリ五輪の熱戦が続く中で、自民党総裁選も着実に動き始めた。しかもそれを主導したのは他ならぬ岸田だった。岸田は公の場で総裁選に触れることは一切なし。「当面の課題に全力」がその理由だが、どっこい着々と再選への布石を打ち始めた。

前広島県安芸高田市長の石丸伸二による「石丸旋風」が吹き荒れた東京都知事選挙。7月7日の投開票日から20日以上経つのに既成政党はなお終戦処理に追われている。

「この銃撃事件で“もしトラ”が“ほぼトラ”になったのではないか」(元外務省最高幹部)――。7月13日、共和党の集会で前米大統領のトランプが狙撃された。次期大統領へのトランプの返り咲きを巡って、「もしもトランプが勝ったら」と、侃々諤々の議論が続いていたが、その「もし」が事件によって「ほぼ」に状況が一変したというわけだ。

総裁選をにらんで麻生、菅の首相経験者2人が火花を散らす構図ができつつある。早過ぎる総裁選の幕開けに、自民党の元幹事長・二階俊博が言及した。二階発言に込められたメッセージとは?

9月に予定される自民党総裁選挙がにわかに動きだした。号砲を鳴らしたのは3年前の総裁選で出馬断念に追い込まれた前首相の菅義偉だった。菅は6月23日公開の文藝春秋のオンライン番組で首相の岸田文雄の退陣を要求した。

首相の岸田文雄の自民党総裁としての任期切れまで約3カ月。そろそろ総裁選の日程を固めるタイミングだが、岸田サイドの思惑も絡み合って具体的な日程検討に入らずにいる中、石破茂が再び脚光を浴びている。

自民党は、4月の衆議院3補選惨敗に始まり、静岡県知事選挙など連戦連敗の“敗戦ドミノ”が止まらない。内閣支持率の低迷からも脱し切れずにいるが、今の自民党に「岸田降ろし」の気配は感じられない。

現職東京都知事、小池百合子の独走で無風に終わるとみられていた都知事選が一転して波乱含みの展開になった。乱を呼び込んだのは立憲民主党の参院議員の蓮舫。5月27日午後2時、東京・永田町の党本部で蓮舫はいつもながらの鋭い口調で小池に切り込んだ。
