新井美江子
東芝の非公開化に必要とされる1兆円超の融資額などを巡り、銀行団の腹の探り合いが最高潮に達しつつある。どの銀行が、どのくらい融資するのか――。各行は、他行の動向を水面下で探りながら、自身の融資の実行額を詳細に詰めているところだ。今、銀行業界でささやかれる主要行の想定融資額とはいくらなのか。その実額を行名とともに明かすほか、銀行を悩ます“東芝融資”のネックに迫る。

芝パークビルに電通本社ビル、大手町プレイス……。ここ数年、みずほ信託銀行は、売買価格が1000億円を超える不動産の超大型案件に立て続けに携わっている。不動産畑を長く歩んだ梅田圭社長が、その手の内や不動産市場の見通しについて明かした。

#6
セブン&アイ・ホールディングスのそごう・西武の売却に伴い、行く末が案じられているのがクレディセゾンだ。クレディセゾンのカード事業は、西武流通グループを起点とした小売業とのタッグにより発展してきた歴史があるからだ。こうした先行き不安に目を付けたのか、旧村上ファンド系の投資会社が株を取得しており、揺さぶりをかけている。クレディセゾンの勝ち残り策と、“本当の課題”を追う。

#5
百貨店子会社そごう・西武の売却など、事業ポートフォリオの改革に動きだしたセブン&アイ・ホールディングス。同社を巡っては、売却について取り沙汰されては消えてきた事業会社が幾つかある。“セブン解体”の中、過去の思惑やしがらみを断ち切り、ノンコア事業として切り出される可能性が高いのはどこなのか。その社名や売却先などについて、大胆に予想する。

#4
「ドル箱」といわれたセブン銀行の高い成長性に黄色信号がともっている。もともとキャッシュレス化の浸透などによるATM座礁資産化の懸念は根強く、水面下では、ある銀行との統合策が模索されたくらいだ。足元では金利上昇局面に差し掛かったことで調達コストの増加懸念まで発生。“セブン解体”の中、銀行業界ではさらなる再編の臆測が飛び交う。それでも強気をにじませるセブン銀行の成長戦略とは。

#3
セブン&アイ・ホールディングスと双璧を成す流通業界の巨頭、イオン。今のところ、「コンビニエンスストア事業への集中」など、アクティビストから強い要求を突き付けられているのはセブン&アイの方だ。だが、流通関係者は「イオンも対岸の火事ではない」と声を潜める。イオンに対する市場圧力の高まりが決して杞憂とはいえない理由を、セブン&アイとの比較などから解き明かす。

#2
流通業界のガリバー、セブン&アイ・ホールディングスが、多角化路線の見直しに動き始めた。これまでは、外部から何度コングロマリットディスカウントを指摘されても「どこ吹く風」だった。しかし、表明済みのそごう・西武の売却検討に限らず、抜本的なポートフォリオ改革を行わねばならないタイミングに、ついに差し掛かった。“セブン解体”を後押ししているのは、二つの「変化の衝撃」だ。

#9
3メガバンクグループはどこも商業銀行を中核として、信託銀行や証券会社などを抱える金融コングロマリットだ。ただし、この15年の施策の違いにより、今後戦略の方向性には差が出てきそうだ。現時点では連結純利益1兆円を稼ぐ三菱UFJフィナンシャル・グループが強さを見せつけるが、3メガグループの攻防戦はいかに。それぞれが“近未来”に取り得る一手を予測する。

#8
サプライチェーンの寸断懸念や、世界的な半導体不足などにより、在庫を積み増す必要に迫られ、財務体質の悪化に頭を悩ませる企業は多い。そこで三菱UFJ銀行が邦銀で初めて参入しようとしているのが、商社などが展開してきた「在庫買い取りビジネス」だ。その「銀行外」ビジネスにおける三菱UFJ銀の“勝算”とは。

#7
ベンチャー支援はメガバンクグループにとって、新たな“金脈”だ。投融資のリターンが相対的に高い上、オープンイノベーションに熱心な大企業との接点拡大のチャンスにもなる。特にみずほ銀行は、ありとあらゆる支援体制を講じる。同行でスタートアップ支援を約10年にわたってけん引してきた大櫃直人・みずほ銀行常務執行役員に、奥が深いスタートアップビジネスの将来性や、みずほ銀における事業展望を聞いた。

#6
銀行単体の「本業の利益」(業務純益)が3メガバンク最下位に沈む三菱UFJ銀行。三菱UFJフィナンシャル・グループの国内大企業営業トップに、銀行営業の存在意義についてあらためて問うとともに、営業力てこ入れのために着手する“営業網”の深化や、利ざや改善策、投資ビジネスの拡大などについて、余すところなく聞いた。

#5
6月23日、三井住友フィナンシャルグループ(FG)が、SBIホールディングス(HD)に出資すると発表した。SBIHDといえば、創業当時からメインバンクはみずほ銀行だ。にもかかわらず、なぜSBIHDに出資したのはみずほフィナンシャルグループではなく、三井住友FGだったのか。三井住友FG、SBIHD、みずほ銀――。その三者三様の思惑について明かす。

#4
銀行関係者から、異口同音に「3メガバンク最強」だと称される三井住友銀行。実際、銀行単体の「本業の利益」(業務純益)は、2022年3月期まで6期連続でトップだ。三井住友銀が収益力で他メガを突き放す「三つの要因」についてひもとく。

#3
トヨタ自動車や、そのケイレツ業者などを巡り、三菱UFJ銀行と三井住友銀行が熾烈な戦いを繰り広げるのが愛知県だ。近年は三井住友銀がトヨタへの猛攻を仕掛けている。だが足元では、こうした2メガバンクの攻防戦とは全く別の新たな“火種”もくすぶり始めた。舞台はトヨタ傘下の国内金融会社、トヨタファイナンス――。同社で想定される巨額の資金調達額や、それを起点に始まる銀行間の腹の探り合いを追う。

#2
ここ数年、メガバンクグループでスタートアップ投融資の機運が急速に高まっている。中でも、早くから前のめりの体制を築いているのがみずほ銀行だ。メルカリ、マネーフォワード、BASE……。実はこれら“メガベンチャー”を創業当初から支えているのも同行である。昨年には、銀行エリートの象徴だった「ナンバー部」(大企業営業担当部署)の解体などを実行する裏で、メガベンチャーを囲い込むための虎の子部署も設立した。みずほが考えるスタートアップ支援のうまみとは。

#1
2022年3月期に連結純利益で7期ぶりに1兆円超えを達成した日本の金融王者・三菱UFJフィナンシャル・グループ。しかし中核の三菱UFJ銀行単体の「本業の利益」(業務純益)は、今や3メガバンク最下位だ。国内大企業営業のトップが「大企業顧客による役割期待の低さを痛いほど感じた」と公言するほど危機感を高める、三菱UFJ銀の反転攻勢策を明かす。

予告
三菱UFJ・三井住友・みずほ、銀行衰退の危機を前に3メガの「最終決戦」が始まった
借り入れ需要の低下に加え、ITの進化を追い風にした非金融業者の銀行ビジネスへの殴り込みにより、銀行の存在意義がいつになく厳しく問われている。バブル崩壊後、経営危機に陥った反省から「健全経営」に過度にとらわれていったメガバンクだが、適切なリスクを取れる体制に転換できなければ、いよいよ衰退の一途をたどることになる。そんな3メガバンクの保守本流、大企業営業の“最終決戦”に迫る。

カードショッピングやキャッシング機能などを提供する「カード・融資事業」や、家賃決済保証や売掛金決済保証などを行う「決済・保証事業」、オートローンなどを展開する「個品割賦事業」など、幅広く事業を展開する信販大手のオリエントコーポレーション(オリコ)。2年前、みずほ信託銀行社長から“電撃”転身した飯盛徹夫・オリコ社長に、5月に発表した新中期経営計画で目指す事業構造の転換について聞いた。

#22
世界最先端といわれた日本の決済インフラ、「全国銀行データ通信システム(全銀システム)」。しかしその抜群のシステムに“限界”を見いだし、多頻度小口決済のための新たな決済インフラを構築するのが「ことら」だ。お金にまつわる「ちょっとしたフリクション」を撲滅する意義や、それによりことらが目指す金融業界の近未来の姿などについて、川越洋社長に聞いた。

#20
これまでは地方銀行の連携手法というと、資本提携か、勘定系システムの共同化が主流だった。しかしりそなホールディングス(HD)の南昌宏社長は、デジタル化時代が到来したことで、地銀の合従連衡策として「第三の選択肢」が浮上してきたと語る。りそなHDの新・地銀“盟主”戦略について、南社長に聞いた。
