2023.2.15
米領域侵入の中国気球撃墜は米中衝突の「前奏曲」なのか
中国気球の米領空への侵入・撃墜事件は米ソ冷戦を決定付けた米国のU2偵察機撃墜事件を彷彿とさせる。対話軌道に戻ったばかりの米中関係の行方は台湾が近い日本にも重大関心事だ。
日本総合研究所国際戦略研究所特別顧問/元外務審議官
1969年外務省入省。オックスフォード大学修士課程修了。北米局審議官、在サンフランシスコ日本国総領事、経済局長、アジア大洋州局長を経て、2002年より政務担当外務審議官を務め、2005年8月退官。小泉政権では2002年に首相訪朝を実現させる。05年9月より日本国際交流センターシニア・フェロー、2010年10月に(株)日本総合研究所 国際戦略研究所理事長に就任。22年12月から現職。著書に『見えない戦争』(中公新書ラクレ、2019年11月刊行)、『日本外交の挑戦』(角川新書)、『プロフェショナルの交渉力』(講談社)など。2021年3月よりTwitter開始(@TanakaDiplomat)、毎日リアルタイムで発信中。
2023.2.15
中国気球の米領空への侵入・撃墜事件は米ソ冷戦を決定付けた米国のU2偵察機撃墜事件を彷彿とさせる。対話軌道に戻ったばかりの米中関係の行方は台湾が近い日本にも重大関心事だ。
2023.1.18
日米首脳会談で中国を念頭に日米の「統合的抑止力強化」が合意されたが、日本は中国とも歴史的、経済的に深い関係だ。外交を活性化し対中関係改善努力を同時並行的にする必要がある。
2022.12.23
反撃能力の保有や防衛費大幅増強は、「軍事大国にならない」としてきた日本の外交姿勢を変え、教育や科学技術予算の拡充を抑えかねない一方で、実際に中国などへの抑止力を強めるのかは疑問だ。安保政策大転換の是非を十分に議論する必要がある。
2022.11.23
北朝鮮の今年に入っての50発を超える弾道ミサイル発射は核ミサイル能力の示威だけではなく、中国やロシアにも依存しない独自の軍事力を持つことで「金王朝」を維持し続けるという思惑がある。
2022.10.19
国際関係は米国の抑止力衰退や自由貿易から軍事安全保障優先で「分断の時代」に入った。日本では防衛力増強の声ばかりが高まるが、米国との緊密な関係を武器にした外交戦略を忘れてはならない。
2022.7.20
参院選後の岸田政権の外交の最大課題は米国と中国との距離をどう取るかだが、米中はインフレと成長減速がアキレス腱になっている。対中戦略では抑止一辺倒でなく経済連携を強める重要性が増す。
2022.6.15
バイデン大統領がロシアや中国を念頭に掲げる「民主主義と専制主義の戦い」は中間選挙に向け求心力維持のための国内政治の思惑がある一方で、対決をあおって世界の分断を進めてしまう懸念がある。
2022.5.18
ウクライナ戦争が長期化しそうな一方で、米中は中間選挙や党大会という「政治の季節」を迎える。国内を意識して双方が強硬姿勢を取り、長期化が予想されるウクライナ問題も対立先鋭化の要因になる懸念がある。
2022.4.20
ウクライナ戦争は軍事的緊張だけでなく、対ロ制裁による経済やエネルギーのデカップリング、ネット空間の遮断など冷戦期を超える世界の分断をもたらしかねない。G7を中心に分断緩和の外交に全力を注ぐ時だ。
2022.3.16
核保有国ロシアのウクライナ侵攻は戦後の国際秩序や安全保障構造を変え、国際社会は相互依存体制による繁栄からロシア排除の新たな構造に進む。「第3次世界大戦」を起こしかねない危うさを抱える。
2022.2.25
ウクライナ問題ロシアによる東部のロシア人支配地域の“独立”を承認に続き、ウクライナの軍事施設などへの攻撃が始まり、外交安保の国際秩序が大きく揺らぐ。中国けん制や北方領土返還交渉を抱え宥和(ゆうわ)姿勢だった日本の対ロ戦略は練り直し…
2022.2.16
日本に最も必要なのは国を強い意思で立て直す指導者だ。サッチャー、金大中、メルケルに見る指導者の資質は、強い使命感や我慢強く説得する力、カリスマ性、そして共通するのは人間力だ。
2022.1.19
中国は当面、アジア太平洋の西半分の覇権確保を目指すとみられるが、決定的な軍事衝突を避けるためには抑止力強化とともに、ナショナリズムや「台湾有事」をあおることは控えなければならない。
2021.12.15
2022年は主要国で選挙が集中し国内政治が国際関係を揺るがす可能性が高い。国内の支持を得るために対外強硬姿勢が取られ不測の事態も起こり得る。日本は「地政学リスク」に備える必要がある。
2021.11.17
岸田政権の外交の重要課題は正常化後最悪の日韓関係修復と没交渉状態の北朝鮮との懸案解決の糸口を得ることだ。米中対立の下、朝鮮半島外交の包括的な戦略作りを急ぐ必要がある。
2021.10.20
中国は「中国の夢」実現に向けて国際的影響力を強める戦略を変えないはずだ。日本は、中国の覇権阻止が第一の米国と協調しつつ中国とも相互依存を深める骨太な対中戦略作りを急ぐ必要がある。
2021.9.22
「9.11テロ」から20年、米国では最も長い戦争だったアフガニスタン戦争から撤収し威信回復や覇権を立て直す取り組みが始まったが、世界が大きく変わったなかで日本も生き方を変える節目とすべきだ。
2021.8.18
強権主義的な統治が民主主義国家にも広がり、日本では「官邸一強体制」の弊害が目立つ。民主主義的統治が内外で“強権体制”との闘いを余儀なくされている。果たして勝利できるのだろうか。
2021.7.21
コロナ禍で東京五輪が開催されるのは総選挙などをにらんだ政治的思惑が強いが、次の北京冬季五輪でも米中対立が影を落とす。政治との一体化や商業主義の根本課題に取り組む必要がある。
2021.6.16
中国が意識されたG7サミットは「専制主義対民主主義」の構図を浮き彫りにしたが、中国が今後、穏健化する可能性もなくはない。日本にとっても対中強硬路線にただ追随することが国益ではない。
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