日米安保体制強化だけでなく
対中関係改善の努力必要
ワシントンでの日米首脳会談とそれに先立つ外相、防衛相による「日米2+2」会談で、予想された通り、米側は日本の反撃能力(敵基地攻撃能力)保有などの安保政策転換を歓迎し、日米が中国を念頭に置いた統合的抑止力を強化することで合意した。
ロシアのウクライナ侵攻や中国の急速な軍事的台頭、台湾海峡の緊張激化、北朝鮮による頻繁なミサイル発射など東アジアの安全保障環境の悪化を考えれば、自然な流れと言っても良いかもしれない。
米国は、かつてのような圧倒的な軍事力と経済力ではなくなっている国力の相対的変化を受け、単独で抑止力を維持するよりも同盟国とともに軍事力だけではなく、情報インフラや宇宙空間ひいては技術力をも含んだ統合的抑止力を強化するという戦略を掲げている。
日本もこの戦略に乗り、日本自身の防衛力の向上と日米安保体制の強化をはかるということなのだろう。
だが中国と歴史的にも経済的にも関係が深い日本の対中国政策は、軍事的な統合的抑止力強化だけでは片肺飛行だ。同時並行して外交を活性化させ関係改善に取り組む必要がある。