米国の対外アプローチに
国内志向が強まった
イスラム組織ハマスの10月7日のイスラエル襲撃から1カ月余り。パレスチナ・ガザ地区ではイスラエル軍の地上侵攻や空爆による連日の攻撃で多数の住民が死傷し、北部から南部へと人々が着の身着のままで避難する悲惨な情勢が連日、報道されている。
進攻回避や戦闘停止でネタニヤフ首相への影響力が期待された米国だが、「住民避難のための1日4時間の戦闘停止」を辛うじて実現させただけだ。
バイデン大統領は、「期待したより(戦闘停止実現に)時間がかかったし、(停止の時間も)短い」と失望を隠さなかったが、ウクライナ戦争に続いて、「世界の警察官」時代とは違う「内向きの米国」を改めて世界に印象付けた形だ。
深刻なのは、それが米国自身の外交姿勢の問題にとどまらないことだ。国際政治や外交への米国の関心や関与が弱まることは世界秩序の不安定化が進むことにもなる。
来年の大統領選の結果次第では、そのリスクがさらに強まる可能性がある。