2017年卒の学生の中にも、売り手市場だからゆえの失敗パターンにはまってしまい、就活に失敗してしまった人が多くいた。その背景には、学生の「大手志向」がある。
大学生協8年連続第1位のベストセラー『絶対内定2018』シリーズの著者である熊谷智宏氏が、その原因とこれから就活をスタートさせる学生たちが今、打つべき対策をお伝えする。(撮影/宇佐見利明)
止まらぬ学生の大手志向
ここ数年、学生が就職活動で内定を得やすい「売り手市場」が続いている。この状況は2018卒も続きそうだ。
今年の6月1日にオープンした、2018年卒を対象とした、インターンシップ募集のナビサイトへの掲載社数を見ると、大手2社であるリクナビ、マイナビともに前年比140%以上となっている。
インターンシップは早期に行われる採用活動の一環になっているため、この数字から各社、採用意欲が引き続き高いことが見えてくる。
この状況下で、学生の「大手志向」に拍車がかかっているのが新たな変化として挙げられる。
リクルートの調べによると、従業員規模別の学生の民間企業就職希望者数は、従業員5000人以上の大企業を希望する学生は、8.3万人で対前年比19.5%増加、300人未満企業は9.9万人と前年より1.4万人減少で対前年比12.1%減となっているそうだ。(参照元:リクルートワークス研究所 http://www.works-i.com/pdf/160421_kyuujin.pdf)
日々、学生と接していても「大手」「有名企業」にこだわる学生の数は増えているように感じる。
「今なら自分も憧れの企業に入れるのではないか」と学生の意識が大手に向いているのだ。
その思いは非常によくわかるし、目指すこと自体は否定しない。しかし、事業規模や有名かどうかだけを軸に就職活動をしている学生は危険だ。表面的な志望動機しか語ることができないため、選考の途中で早々に落とされてしまう。
採用環境が良いために、学生が楽観的になってしまい、自分や社会と向き合う機会を失ってしまうのだ。このように、売り手市場が学生の就職活動を失敗に導いているケースが多発している。
今回はこうしたケースについて解説したいと思う。