シリコンバレーに拠点を持つ日本企業が、
イスラエルにも拠点を持つ理由

 日本企業も欧米企業に遅れがちであったが、近年イスラエルの「頭脳」を活用する取り組みを始めている。2015年、武田薬品は日系企業ではいち早く「アクセラレータ」を開始している。その前年、2014年にトヨタITCは、米国以外で初めてハッカソンを開始し、これに続き、2015年には村田製作所が開催(村田製作所は今年も開催する)。2016年には、ワコム、TISといった企業も現地でハッカソンを開始している。今後、日系企業のイスラエル進出も盛んになってくると筆者は見る。

 最後に、多くの日本企業は、シリコンバレーに拠点を持っていれば、イスラエル拠点は「不要」と考えるかもしれない。しかし、本稿で挙げたグローバル企業のほとんどがシリコンバレーに拠点を持ちながら、イスラエルでも拠点を設けている事実がある。

 その理由は、R&Dやオープンイノベーションなどの複雑なコミュニケーションを必要とする場合、「コミュニティ化」する場合は、ローカルでのコミュニケーションが重要であるためだ。対イスラエルに本気で取り組むのであれば、シリコンバレーで拠点を持ちながらも、ローカルで拠点を持つことの重要性は言うまでもないだろう。