近隣の店舗が
ヘルプしやすい仕組みを作る

マクドナルド店長に学ぶ!チームが育つ「先生型マネジメント」とは?渋谷和久(しぶや・かずひさ)
テンプホールディングス株式会社 グループ営業本部 本部長 兼 株式会社インテリジェンスHITO総合研究所 代表取締役社長
1999年新卒にてアンダーセン・コンサルティング(現アクセンチュア)に入社。2004年インテリジェンスに中途入社。アルバイト求人広告事業(an)にて営業企画部門、大企業向け営業部門、代理店統括部門の各責任者を経て、2011年よりインテリジェンスのグループ営業本部長。インテリジェンスとテンプグループの経営統合による組織再編により、2014年4月より現職。人事・組織コンサルティングサービスと「HITO(ヒト)」をテーマにした調査・研究活動を牽引している

【齋藤】あと、マクドナルドにはPAM(読み:パム)という仕組みがあるんです。これは年に2回、自分たちのお店を近隣店舗のヘルプにまるごと任せて、みんなでレクリエーションなどに出かけるイベントです。バーベキューをしたり、イチゴ狩りに行ったり。このイベントも、チームビルディングに大きく役立っています。

【中原】全オペレーションを、ほかのチームに任せるということですか?

【齋藤】はい。社員も数人借りて、みんなで一斉にお店の外に出ます。

【中原】へー。それが会社オフィシャルのイベントとしてあるんですね。

【日比谷勉(以下、日比谷)】はい。オフィシャルのイベントです。予算も全部ついています。

【中原】逆に言うと、一斉にそのお店の人が抜けても、ヘルプだけで回るんですね。それだけ標準化されているのがマクドナルドさんの強みですよね。

【日比谷】日本全国どこに行っても、同じ機器、同じルールというのは強いですね。レイアウトはお店によって若干違いますけど、使う機器はほぼ同じですから、どこの店舗に行っても違和感なく働ける。

【中原】ふつうはできないですよね。「あれはどこに置いてあるんだ?」みたいなことが必ず起こる(笑)。これはマクドナルドさんならではですね。

会社のレクリエーションイベントを
「最大限以上」に活用する

マクドナルド店長に学ぶ!チームが育つ「先生型マネジメント」とは?日比谷勉(ひびや・つとむ)
日本マクドナルド株式会社 人事本部ピープル・ディベロップメント部 統括マネージャー。1964年生まれ。東京都出身。大学卒業後、日本マクドナルド株式会社に入社。2008年プロジェクトリーダーとして、全店舗のクルー採用を促進する自社Webサイト「マックdeバイト」と一括応募を可能としたコールセンターを設立。この功績により、全世界の従業員の中でトップ1%の優秀な業績を残した社員に贈られる「プレジデントアワード」を受賞。2015年より現職。正社員・クルー・チャレンジクルー(障害者)の採用・定着のため、中・長期的かつ幅広い視点でのソリューションを構築・提供する役割を担っている。2016年3月には、新しい試みとして、クルーの「成長」を描いたオリジナルアニメーションを制作公開し、マクドナルドの採用キャンペーンを実施した

【齋藤】そのPAM、会社としては「年2回」の実施が通例なのですが、私の店舗は最低でも「年4回」実施することにしています。

【中原】多くやっちゃうんだ!それって……どうやって許されるんですか?

【齋藤】店長会議の場で周りの店長に許可を得て、助けてもらいながらやっています。

【日比谷】周りの店長がOKだったら、人を貸してもらって、お店を空けられる構造になっているんです。どの時期に何人必要だということを、齋藤店長が近隣の店長と調整して、賛同を取りつけているんですね。

近隣の店長たちも「齋藤店長はお店の仲間意識を育てたいと考えている」ということをわかっているので、協力を得られているのだと思いますね。

【渋谷】このような「出る杭をますます伸ばす」というのがマクドナルドさんの文化なんですね。ちなみにPAMには、齋藤店長のお店のアルバイト70人のうち、何人くらいが参加されるんですか?

【齋藤】今までの最高記録は55人ですね。周りのお店からは「驚愕!」とのコメントをいただきました。

【中原】ほかのお店の参加率はどれくらいなんですか?

マクドナルド店長に学ぶ!チームが育つ「先生型マネジメント」とは?齋藤周平(さいとう・しゅうへい)
マクドナルド立川伊勢丹前店店長。1989年生まれ。東京都出身。大学卒業後、2011年 日本マクドナルド株式会社へ入社。2015年 店長へ昇格。自らロールモデルとなり、人材育成に力を入れている。マクドナルド働くことで「成長」を実感しているクルーが多く、そのポジティブな雰囲気が定着に繋がっている

【日比谷】半分程度、あるいは、そこまでいかない店舗もあるかもしれないですね。店舗によって差があります。

【中原】ふつうはそんな感じですよね。「仕事」ではないですから。

【齋藤】私は「横のつながり」や「仲間意識」が、退職を防ぐ最終的な武器だと考えているんです。そのためには泥臭く動きます。

【渋谷】PAMでは、主婦や学生、フリーターなどの属性には気をつけてチーム分けをしているんですか?

【齋藤】はい。男女も、属性も、全部分けてから「あみだくじ」で決めています。誰が誰とグループになるかが最後までわからないように、逆にいえば、変な派閥やグループが生じないようにしています。

マクドナルド店長に学ぶ!チームが育つ「先生型マネジメント」とは?齋藤店長はPAMでスポーツ大会を企画