本連載では、11月11日に『聞くだけで脳の疲れがとれるCDブック』を出版したクリスタルボウル奏者の石塚麻実さんが、脳の疲れをとる究極の方法として、クリスタルボウルの音や響きが、なぜ、脳や心身にいいのかについて、わかりやすく解説します。
今回は、日本における脳波研究の第一人者である志賀一雅博士に、クリスタルボウルが脳にどう影響するのかについて話を聞きました。博士が行った数回の脳波実験によると、クリスタルボウルの演奏者と被験者の間で、とても興味深い現象が確認できたと言います。
クリスタルボウルが脳にどう影響しているかを実験する
日本において最初に脳波の「アルファ波」を3種類に分け、ファストアルファ波、ミッドアルファ波、スローアルファ波と質的な違いを提唱した。1961年電気通信大学卒業後、松下技研に勤務。東京大学工学部計数工学科研究員を兼務しながら、脳波研究に没頭。1983年脳力開発研究所設立。パソコンを利用した脳波分析装置を開発し、大学や企業の研究所へ提供。アルファ波を指標としたメンタルトレーニング指導で、日本航空、日本IBM、NTTなど、大手企業の脳力開発研修において高い評価を得る。2011年3月に米国HHS(米国保険社会福祉省)大統領諮問機関より、長年にわたる脳波とメンタルトレーニングの研究、実践に対しGOLD AWARD(金賞)を授与される。2015年にはステージ3の大腸がんを克服し現在もさまざまな研究と講演活動を実施している。著書は『全身の疲れがスッキリ取れる本』(三笠書房)など多数
石塚さんとは、共通の知人の紹介でお会いしました。知り合ってほどなくして、石塚さんからクリスタルボウルが脳波にどう影響するのかを調べていただけないかと頼まれまして、では、やってみましょうということで、2009年8月にはじめて実験をしました。
私は脳波の研究を45年以上やっています。医学・生理学ではなく、脳の情報処理という工学的立場からの研究です。
ご存じのように脳波は大きく、ベータ波、アルファ波、シータ波、デルタ波の4つに分けられます。
私は、さらにアルファ波をファストアルファ波、ミッドアルファ波、スローアルファ波の3段階に分けて評価しています。
下の写真は、2人の被験者に脳波の測定装置を頭に付けて寝た姿勢で石塚さんの演奏を聞いてもらっている実験の場面です。
音の周波数は、クリスタルボウルのサイズや材質で決まりますが、強弱のゆらぎ(ビブラート)はマレットというばちの動きで決まります。
その動きは演奏者の脳からの信号であり、演奏者の脳波が強く反映されます。マレットでクリスタルボウルをこするように回したときに演奏者の脳波状態が手の動きに反映され、それがサウンドの質に強く影響するものと思われます。
クリスタルボウルが発する10ヘルツのビブラートは、ミッドアルファ波を反映しており、このとき聞く人に上手な演奏を印象づけるようです。