「認定NPO」の認定事務の地方移管に異議を唱えた東京都

「タイガーマスク旋風」でにわかに脚光を浴びた寄付活動をめぐって、その急拡大が期待される一大改革に暗雲が垂れ込めてきた。

 日本の寄付市場はあまりに脆弱だ。「寄付白書」によると、日本の個人による寄付額は約5500億円。米国の約2500億ドル(約21兆円)とは、雲泥の差である。

 個人による寄付のすそ野を広げようと、政府は2011年度に、NPO法人などへの寄付をしやすくする「特定寄付信託」制度を創設する方針だ。同年度の税制改正で、寄付額の半分を所得税額から控除することなどが盛り込まれた。

 しかし、こうした税額控除を受けられるのは、NPOへの寄付の場合、国税庁から認められた「認定NPO」のみ。認定には厳しい条件がつけられており、全国に約4万あるNPOのうち、認定NPOは200団体にも満たない。日本に寄付文化が根づかない悪因と批判されてきた。

 このため、政府は認定NPOの認定事務を国税庁から都道府県に移し、条件も緩和する制度改革を進めている。

 ところが、これに移管先の東京都が異議を唱えているのだ。

 都管理法人課は「地方自治体には国税庁のような全国的な情報網や調査の専門知識、ノウハウもなく、十分な対応ができない」と難色を示している。

 他の自治体からも懸念の声が上がっており、内閣府が調整に乗り出してはいる。ただ、7000近いNPOが集中する都が認定作業を拒否すれば、改革は骨抜きになりかねない。さらに永田町では、改革案を審議するはずの衆議院の解散が現実味を帯び、改革案成立までの道のりは険しくなる一方である。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 山口圭介)

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