計画停電回避には、
企業の節電が必須

 夏場の電力需要のピークを乗り切る節電対策で重要なのは、企業の覚悟と行動だ。 先にも述べたとおり、「いっせいのせ!」でやらなければ回避できないのだから。 東京電力における夏の電力需要の構成比(図2)を見ると、ピーク時付近では工場が全体 の約25%。家庭が約30%、そしてオフィス・商業施設などが残りの約45%となっている。

図2 2011年夏の東京電力の需要推計

 夏のピーク時、電力需要の半分はオフィスや商業施設で使用する電気なのだ。 工場用の25%を含めれば全体の3分の2が産業用の電気で占められていることがわかる。 家庭や個人レベルでコツコツと節電するよりも、企業が使う業務用電力の使用量をまとめて削るほうが効率的であり、きわめて現実的といえる。

 つまり今夏の計画停電が回避できるかどうかは、各企業の対応次第ということにもなってくるのだ。だからといって、工場の操業をストップし続けること、商業施設を閉じ続 けることは、日本経済にとっても大打撃である。

 経済活動を回しながら、企業が一丸となって対策をとる。

 これこそが、重要なポイントではないだろうか。 オフィスや工場、倉庫など、ピーク時の需要の大きい場所でいかに節電するか。まず企業が先頭に立って行動を起こすことが、今夏の計画停電回避のための大切な第一歩となる。

 次回以降は、ピーク時電力を確実に下げて計画停電を回避するために、今企業が取り組むべき抜本的な対策について、より具体的に提言していきたいと思う。