ストーリー仕立てなんですが、著者さんが僕と同世代なんです。僕らファミコン世代なんで、ロールプレイングゲームをしているかのように読み進めることができるんです。一つずつ課題をクリアしてくような展開なんです。幼少の頃から根づいているゲームの感覚がそのまま活字として展開されている印象でした。だから僕らの世代には、とても受け入れられやすい内容だと思いました。こういう見逃してしまいそうな本を発掘するのが書店の仕事だと思いました。

 書店員として「タイトルが悪い」「装丁が悪い」って言うのは簡単です。でも、読者に届ける最後の場でどうやるかは書店の仕事です。もう出来上がったものですから、あとは売るしかないんです。たとえ装丁がパッとしなくても、「この本はいいですよ」と推奨できるのは、最後は書店しかできないじゃないですか。装丁が大人しかったらそれをPOPなどで補えるのも書店しかないんです。

 自分で書いたPOPの本を買ってくれたお客さんに遭遇すると、本当に嬉しくなります。思わず声をかけたくなる衝動に駆られます。実際には声をかけたことないですけどね(笑)

書店という特異な場を生かしたい

――昨年は電子書籍元年と言われるように、その動きが本格化してきました。この動きをどのようにご覧になっていますか?

昼間 世間が大騒ぎするほど僕は心配していません。確かに紙の本が電子書籍に食われている部分もありますが。昨年だけで言えば、電子書籍が話題になり、出版界全体が注目されたことで、むしろ書店としてもありがたかった部分はあります。事実、電子書籍に関する本やiPadの使い方などの紙の本が売れているわけです(笑)