飛ばし読みは無駄ばかり!?
本はメモしながら読むと血肉化する
奥野:最初は書くより覚えておくほうがいいやと思っているような人でも、メモする習慣ができれば多くのメリットを実感すると思います。
例えば僕の場合は、スケジュールのダブルブッキングを防ぐといった実務的なことだけでなく、書くことによって「最近あんまりパッとしない感じだけれど、ちゃんと頑張ってるな」と自分を認めたり、読み返して、「自分がこんなこと考えていたのか」と気がつくことで目標を定め直したり、といったことにも役立っていると実感します。佐々木さんは、どういったメリットを感じられていますでしょうか?
佐々木:例えば、本を読むと8割や9割はすぐ忘れてしまうものです。人によっては、忘れてしまうのは気にせずたくさん読もうと言うかもしれないけど、1冊読んで1割や2割では寂しいですよね。
ところが、読んで印象に残ったことをメモすると、かなりの割合で自分の体に残るんです。だから、10冊読み飛ばしている人と比べても、2冊か3冊をしっかりメモしながら読んだほうが、実は効率がいいんですよ。
奥野:メモしながら読むほうが本の内容を血肉化できて、より知識が身に付く、行動や思考へ与える効果も大きくなる。つまり、〝歩留り〟がいいわけですね。
佐々木:そうそう。私はたくさん本を読み飛ばすという人はちょっと無駄なことをしてるなと思ってるんですよ。それぞれの流儀があるとは思いますが、私みたいに時間のない人間はそんなことやってたらロスが多過ぎちゃうんです。だから大事だ、いいなと思った本は、そこで学んだことをきちんとメモしておくわけです。
例えば、『プロフェッショナルマネジャー』という本はすごく感動して、目次から何から全部書きました。私のパソコンには、絶対に参考にすべき本の目次や内容が全部入っているんですよ。重要なことをきちんとメモすれば、経営論の本なら100冊も読む必要なんてなくて、2、3冊で十分です。
奥野:本を読んだら、「読みっぱなし」にするのではなく、手で書いて覚えたり、繰り返し読み返したりして身に付けることのほうが大事ですよね。
私も『読書は1冊ノートにまとめなさい』という本の中で、本の引用と自分の考えをセットにして書いておくという「ねぎま式読書ノート」を紹介しました。また、新刊の『人生は1冊のノートにまとめなさい』でも、帯をノートに貼っておいたり、電車の中で読んだ本もメモしておくほうがいいと書きました。
「何を読んでいるか」自体が、その時の自分の気持ちや状況を物語るからです。佐々木さんの場合は、具体的にどのように記録しているのでしょうか?
佐々木:私の場合は特別なやり方というほどのものはないんだけど、自分が気に入ったとか、これはためになると思った部分を書き出していくんです。
普通の本は、たぶん1割くらいしかないけど、先ほどの『プロフェッショナルマネジャー』みたいな本はね、始めから終わりまで宝物みたいな文章だから、ほとんど書き出しますよ。
奥野:そのまま抜き書きされるんでしょうか。それとも、ご自分の何か感じたことを書かれたりするんでしょうか?
佐々木:ケースバイケースですね。その本の感動のしかたによりますね。
例えば、『散るぞ悲しき』という本がありますが、あれはすごく感動したので、そのままほとんど全部抜き書きしましたよ。