成果を出すには、
仕事をとことん愛し暗記する

奥野:『働く君に贈る25の言葉』では、毎朝電車の中でメモを読み返すと書かれていますが、本のメモも読み返したりしているのでしょうか?

佐々木常夫・著『働く君に贈る25の言葉』(WAVE出版)

佐々木:電車の中で読み返すというのは、本のメモもそうなんだけど、主として仕事の関係のメモですね。若い頃というのは会社の中で覚えなきゃいけないことがたくさんありますよね。

 私の場合は仕事柄、炭素繊維やプラスティックの生産や販売、開発などをやるんですが、覚えなきゃいけないことがたくさんあるんですよ。ポリエステルのフィラメントの生産販売の仕事やってたときは、約400品種を全部書き出して暗記するんですよ。

奥野:400品種! ただそれでも、中には暗記せずに、その都度調べればいいんじゃないかという人もいますよね。

佐々木:暗記してた方が仕事が早いんです。上からパッと聞かれたときに、「ちょっと調べて連絡します」なんてやらなくても済みますよね。

 私が営業課長をやっていた時は、自分の課の約10年分の売上利益を全部覚えていましたし、自分が売ってる全品種、月次の販売量、得意別先の数量なども暗記していました。これを覚えておくと、何か連絡するときにもかなり役に立ちますよ。

奥野:さすがにそんなことまで覚えている人なんて社内にいないですよね?

佐々木:いないです。だから周りを見ていても、他の人は探すまで時間がかかるので、私の方が断然早く処理できるんです。そうすると、上司からも頼られることになります。時々、上司から「おい、佐々木、あの件はどうなってる?」と言われても、全部暗記しているからすぐ対応できるわけです。

奥野宣之・著『人生は1冊のノートにまとめなさい』(ダイヤモンド社)

奥野:すごいですね。やっぱり手間はかかるけど、毎日のようにメモして、読み返して、という積み重ねをすることは、確実にメリットがあるんですね。

佐々木:自分の仕事を上手くやろうと思ったら、それぐらいの努力はしなきゃいけないですよ。だから、私は「自分の仕事を愛しなさい」って繰り返し言ってるんですよ。

奥野:なるほど。自分の仕事で成果を出そうと思ったら、品種や数字もすべて覚えてしまうくらい徹底して仕事に対して興味を持っておかなければならない、と。自分の仕事を心から愛していないと、義務感だけではそこまでできませんね。