結婚式で挨拶のヘタな人は、
ふだんも説得力がない。

 相手にどのぐらい納得してもらえる話し方ができるかどうかは、結婚式のスピーチをさせればよくわかります。

 結婚式のスピーチは、最悪事例の集大成です。結婚式で退屈な時は、スピーチがなぜこんなに面白くないかという分析をしてみると退屈しのぎになります。

 結婚式のスピーチをダラダラやっている人は、ふだんお客様にも同じような話し方をしています。日常生活でお客様にそういう話し方をしていることには、ご本人もまったく気がついていないのです。

話の初めに、言い訳しない。

 面白くないスピーチのパターンは、次の6つです。

 ①長いこと。

 まったく意味もなく長い。

 言うべきことがないので、よけいに長くなります。

 中身のない企画書ほど長くなるのとまったく同じです。

 ②言い訳が多い。

 「突然のご指名」であるわけはありません。

 披露宴などでは、普通は招待状の中にスピーチ依頼状が入っています。

 あるいは、新郎新婦がわざわざ2人で家まで挨拶に来て頼まれているはずなのに、なぜ「突然のご指名」と言い訳するのか。

 文章を書かせても、こういう人は前置きが長い。

 「私はそのほうの権威ではないので、はたしてどのように書けるかどうかわからないが……」のように前置きが長くなります。

 前置きの長い人の話はたいていつまらない。

 お客様に話す会話の中でもこういう人は多いのです。

 ③慇懃無礼。

 「諸先輩方を差し置きまして、私のような若輩者が……」、これは一見謙虚のようですが、ただの慇懃無礼です。

 お客様のところへ行って広告代理店がよく言うのは、「このたびはプレゼンテーションの機会を与えていただきまして、まことにありがとうございます。精いっぱいやっていこうと思います」、こういう話はもう要りません。

 時間のムダです。

 早く結論を出すほうが先決です。

 まわりくどい話よりドンと結論から言ったほうが、説得力はあるのです。

 スピードが勝負の時代ですから、一番大事なことが一番先頭に来なければいけないのです。

 「もう一軒行こう」ではなく「ホテル行こう」のほうが、成功率が高いのです。

 説得力のない人は、首位打者が9番の打順で打っているようなものです。

 打てない打者から1番に出てくる。

 これまでの時代は3番、4番、5番というクリーンナップに強力打線を配しました。

 これはもう通用しません。

 これからはゲリラ戦、ある意味では草野球の時代です。

 草野球では一番よく打つ打者が1番バッターです。

 よく打つ順番に1番、2番、3番と並べるのが草野球で勝つ方法です。

 そういう時代には、慇懃無礼な「諸先輩方を差し置きまして」という言い方をしないことです。

 失礼と感じるようだったら辞退しないといけません。