「疲れた、助けてもらいたい」と正直に伝える

家族の介護を人の手にゆだねることに抵抗がある人は少なくありません。

がんばって介護をすると決心した人は、1人で介護できないのは自分の責任だと感じやすいものです。

しかし、このままではGさん自身が倒れてしまいかねません。

介護は長期化しやすく、慢性的な睡眠不足と過労で心身ともに消耗します。けっして1人で抱え込めるものではありません。

「施設の話を持ち出したら母を傷つけてしまうかも…」と心配していたGさんには、「疲れた」「苦しい」「1人では無理だから、助けてもらいたくなった」と母親に正直に言うようにアドバイスしました。

私の友人のWさんも、12年にわたる介護疲れがピークに達したとき、「会社をこれ以上休めないから、デイサービスに行ってもらえないかな」「ショートステイを利用してほしい。どうか私を助けて」と初めて母親の前で泣きました。

自分のつらさを正直に打ち明けたとき、母親の表情が変わりました。

それまで「施設に行くくらいなら死ぬ!」と叫んでいた母親が、「無理をさせたね。ごめんね。お母さんもがんばるよ」とデイサービスを利用し始めたのです。

介護のために、娘が仕事を休んだり、会社を辞めたりするのは、親にとっても避けたいことなのです。
親も、子どもに迷惑をかけたくないし、子どものために何かしたいと思っているのです。

ただ、注意したいのは、サービスの利用を「お母さんのためにもなるから」などと親のせいにしないことです。

あくまで「私のために力を貸してほしい」と、自分が困っているから助けてほしいというニュアンスで伝えてください。