テレビ出演多数の人気臨床心理士が、幸せを引き寄せる口ぐせの数々を、脳への効果や医学的理論を基に解説。今回は、「大好き」という言葉の魔法についてです

「大好き」という言葉と返報性の原理

山名裕子(やまな・ゆうこ)
やまなmental care office代表。臨床心理士。 1986年、静岡県浜松市生まれ。幼い頃から両親が一番の理解者であったが、身内ではないからこそ話せることもあるのだということに気がつく。心理学系大学を卒業後、夢に向かって努力を重ねるが、努力だけではどうにもならない挫折を味わい、自信をなくす。その後もう一度心理学を学び、臨床心理士として活動するため、大学院にて心理療法の心得や技術を習得する。2013年、臨床心理士の資格を取得。心の専門家、臨床心理士として「モーニングバード」(テレビ朝日)、「あさチャン!」(TBS系)、「Rの法則」(Eテレ)などメディア出演多数。また、有名企業から教育機関などで講演活動も精力的に行っている。主な著書に『バカ力―完璧をめざさない強さ―』(ポプラ新書)『一瞬で「できる男」と思わせる心理術』(宝島社)がある。

「大好き!」――日本人は、あまりこの言葉を口にしませんね。

 欧米では電話の最後に、夫婦やカップルはもちろん、親子や友人であっても「I love you」と言って切ったりしますが、日本においてはまずありませんよね。

 でも、特に恋愛関係においては、ぜひ積極的に使ってほしい言葉なのです。
「大好き」という言葉は、人間が持つ「認められたい」「愛されたい」などという承認欲求を満たしてくれる言葉です。

 女性は、女性ホルモンの影響もあり、男性に比べて不安な気持ちに陥りがちです。パートナーである男性から「大好きだよ」と言われるだけで、女性の不安はかなり軽減され、気持ちが安定します。

 そして、人から何かをしてもらったら自分も返さなければいけないと思う「返報性の原理」も働き、女性側も男性をもっと大好きになろうと無意識的に感じるようになる。この言葉一つで、夫婦やカップルの関係性が円滑になるのです。

 よく、「女性は感情的で、男性は論理的傾向が強い」と言われます。実際、脳の構造的に女性のほうが、右脳と左脳をつなぐ「脳梁」という部分が太く、右脳と左脳の連動性が優れているので、男性よりも多くの不安を抱えやすく、感情で物事を捉える傾向にあります。

“論理的”な男性からすれば、「わざわざ『大好き』だなんて言葉にしなくても、一緒にいるんだから好きということでしょ?」と考える。でも、感情の生物である女性は、言葉が欲しいんですね。初めは恥ずかしいかもしれませんが、男性側が頑張って「大好き」を使うことが、夫婦円満、カップル円満のコツなのです。

 会えない時に、一人で「大好き」と繰り返しつぶやくことも有効です。同じ人に繰り返し接すると、好意度が高まるという心理を「単純接触効果」と言いますが、これと同じ効果があるのです。

 友だちに対して、「○○君(○○ちゃん)のことが本当に大好きなんだよね」と話したり、一人でいる時も「○○君(○○ちゃん)大好き。会いたいなあ」などと口にしたりすることで、好きという気持ちが盛り上がります。つまり、実際に会っていなくても、繰り返しパートナーに「大好き」と言うことで、気持ちの中での「単純接触効果」が高まっているんですね。

 会えない時も気持ちが盛り上がっていれば、実際に会った時の感情はさらに盛り上がります。「大好き!」という言葉も、さらに自然に、想いを込めて発することができるようになるはずです。

『幸せを引き寄せる「口ぐせ」の魔法』の本文の一部を掲載しました)