ソーシャルメディアにおける「サクラ」は簡単に見抜ける
それでは、企業と消費者がつながらなくても、企業が用意した場で消費者どうしがつながればよいのでは? 残念ながら、実名空間であるフェイスブックでは、こちらも困難極まります。
フェイスブックを使った関係構築の難しさを確認するには、それほど時間はかかりません。どちらの企業のものでもフェイスブックページを覗いて、そこに寄せられた消費者からのコメントを読んでみてください。文字数が少ないことと文章が言い切りで終わっていて、「問いかけ」がないことに気づかれると思います。これは、お互いに双方向のコミュニケーションを要求しない関係において表出する状態です。
フェイスブックは実名性が高いため、知り合い以外とコミュニケーションをとることに大きなハードルが生まれます。それゆえ、企業の用意する場はお互いに意見や感想を求め合うようなやりとりは影を潜め、それぞれに独白を重ねるような空気に包まれます。
このような空気は、お金で投稿者を雇う、いわゆる「サクラ」を使ったコミュニティにも見られます。
残念ながら、ソーシャルメディアの業界にはサクラを使う企業があります。活性させる技術を持たないため、活性しているように見せかけようという苦肉の策なのですが、これでは参加者の態度変容はおろか、消費者との関係構築など望むべくもありません。
このようなサクラの見分け方は簡単です。それらはフェイスブックのコメントと同じく、文末に「みなさんはどうですか?」といった問いかけが見られません。サクラを仕事にしている人は、純粋な参加者と本当に関係を持ってしまっては商売になりません。自分の虚構の投稿に返答がついてしまうと困るので、フェイスブックのコメントと同様、文章は基本的に言い切りのものを好みます。
フェイスブックはサクラではありませんが、この2つに共通して不足しているのは、企業が用意した場で起こる双方向のコミュニケーション、それによって生まれるあたたかな空気です。