問題点をズバリ特定しよう
書き出すからこそ、見えてくる

 このように5つの要素を書き出してみると、その業務の問題の原因がどこにあるのかを特定しやすくなります。事務仕事の例で考えてみましょう。

 たとえば、あなたはある家具の販売会社の営業事務部門の見積チームに所属しているとします。営業担当者から見積依頼を受け取り、価格や納期を確認して見積書を作成。押印した見積書をPDFファイルにして、メール添付でその営業担当者に送り返す。

 これが主な業務だとしましょう。ミスのない見積を、依頼を受けてから3時間以内に返す。こんな目標を掲げています。この見積チーム、2つの問題を抱えていて、営業担当者からクレームを受けています。

・見積のミスが多い(商品の間違い、数量の違いなど)
・見積を返すまで、4時間以上かかることが多い

 さて、この業務を5つの要素に分解してみましょう。下の図のようになります。いったい問題の原因はどこにあるのか? チームメンバーで話し合った結果、インプットに原因があることに気がつきました。では、ここで言うインプットとは?

生産性が低いなら、この5つに必ず問題がある

 営業担当者から受ける見積依頼の指示情報ですね(もちろん、それだけではありませんが)。営業担当者によって、見積依頼の仕方がバラバラだったのです。

・ある人は電話で
・ある人は直接口頭で
・ある人はメールに箇条書きで
・ある人は、手書きのメモを撮った写真をメールに添付して
・ある人はエクセルで作った定型フォーマットで

 インプットのバラつき。それにより、確認の手間や、聞き漏れ/聞き間違いなどが起こり、ミスや非効率を生んでいた。たびたび手戻りも発生し、3時間以内に見積もりを返すことができていないとわかりました。

 このように、5つの要素分解は問題の原因のありかを特定する、あるいはアタリをつける助けになります。

「もしかして、インプットに原因があるのでは?」
「情報を提供している人(関係者)に問題がある?」
「アウトプットの質が、目的に見合っていないのでは?」
「そもそも、目標が高すぎるのでは?」
「人による、作業時間(効率)のバラツキが大きそうだね」

 あなたの業務も5つの要素に分解して、どこに問題があるか? どこにメスを入れればよさそうか? 議論してアタリをつけましょう。

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(この原稿は書籍『チームの生産性をあげる。――業務改善士が教える68の具体策』から一部を抜粋・加筆して掲載しています)