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ソーシャルメディア進化論

【第6回】
ザッカーバーグに異議あり!
フェイスブックが掲げる「実名主義」では社会は幸せになれない

武田 隆 [クオン株式会社 代表取締役 兼 最高経営責任者]
【第6回】 2011年8月30日
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耳を傾けるべきは、
実名でソーシャルメディアに参加することができない人たちの声

 しかし残念ながら、ヌーディストビーチが世界各地で展開されるも、未だ都市に住む大多数の人々の服を脱がすには至っていないのと同様に、今回の試みも難しいかもしれません。

 なぜなら、個人が実名でソーシャルメディアに参加することには、個人情報を開示するリスクに加え、有名人のように自分のまわりに大きなネットワークを持たない個人が情報発信を行っても、社会からの注目を集めることは難しいという問題があり、個人に大きな負担をかけてしまうからです。

 実際、「バージン」にせよ「ジャイアン」にせよ「ヌーディスト」にせよ、実名性を擁護している人を見てみれば、地位も名声もお金もある人が多いことに気づきます。

 しかし、実名でソーシャルメディアに参加することができない人たちの声こそ大切なのではないでしょうか。むしろ現代の評論家、専門家、政治家、経営者、マーケターといった論客には、その声なき声に耳を傾ける姿勢こそ求められているのではないでしょうか。

実名を伏せたまま社会につながる手段としての「企業」

 さて、このような現状を踏まえれば、前回の連載で指摘したソーシャルメディアによる繭化の問題に対する処方箋は、実名性を高める方向ではなく、匿名性を維持したまま、社会につながるモデルであるという結論になります。

 そのモデルを機能させるためには、自らが個々の人々とつながりつつ、同時に社会に強い影響力を持つ主体が求められます。その役割を担えるのはどのような主体でしょうか? 私はここで、「企業」という組織にスポットライトを当てたいと思います。

 企業はひとつの主体でありながら、複数の人間が連繋して活動することができます。より多くの人々とつながることができます。個人ひとりの力は小さく弱いかもしれないけれど、和になってみんなの力を合わせることで、社会に大きな影響を与えることができます。

 企業が、実名性による個人のリスクを軽減し、注目を適切に分配する。また、個人の力を社会につないでいく。個人が企業に貢献する代わりに、企業が個人をリスクや孤独から守る。たとえるなら、イソギンチャクとクマノミの共生のような関係モデルを創るというアイデアです。

 それでは、企業がソーシャルメディアを活用するにはどのエリアが適しているのでしょうか?

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武田 隆
[クオン株式会社 代表取締役 兼 最高経営責任者]

日本大学芸術学部在学中の1996年、前身となるエイベック研究所を創業。クライアント企業各社との数年に及ぶ共同実験を経て、ソーシャルメディアをマーケティングに活用する「消費者コミュニティ」の理論と手法を開発し、複数の特許を取得。その理論の中核には「心あたたまる関係と経済効果の融合」がある。システムの完成に合わせ、2000年同研究所を株式会社化。その後、自らの足で2000社の企業を回る。これまでに森永乳業、ライオン、資生堂ジャパンをはじめ、300社超のマーケティングを支援。ソーシャルメディア構築市場トップシェア(矢野経済研究所調べ)。2015年、ベルリンと大阪に支局を開設。著書『ソーシャルメディア進化論』は松岡正剛の日本最大級の書評サイト「千夜千冊」にも取り上げられ、ロングセラーに。また、CSR活動の一環としてJFN(FM)系列ラジオ番組「企業の遺伝子」のパーソナリティも務める。1974年生まれ。海浜幕張出身。


ソーシャルメディア進化論

花王、ベネッセ、カゴメ、レナウン、ユーキャンはじめ約300社の支援実績を誇るソーシャルメディア・マーケティングの第一人者、エイベック研究所の代表取締役 武田隆氏が、ダイナミックに進化し続けるソーシャルメディアの現在と未来に独自の視点から迫る!

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