「ジュンク堂書店は図書館とは違う!」
棚構成の流動性が、新しい本との出会いを生む。

――司書を目指されていたということですけど、「司書」と「書店員」の違いってどこにあるんでしょう?

安齋 書店の仕事にもいろいろありますが、決まった本を探す場合もあれば、こういう本を探しているんだよ、という相談を受けることもあります。このあたりだと、司書の仕事と共通するところもあります。

 でも、入ってくる本の数が全然違うんです。図書館は、基本的にある程度選ばれた本が入ってきて、それを管理すると。対して書店、特にジュンク堂では、基本的に全部入ってくるので(笑)。

――ジュンク堂さんを形容するときに「図書館っぽい」と言う人が多いと思います。たとえば「分類」は、図書館で勉強されていたことが役に立ったりしましたか? それとも、書店と図書館の分類は全然違うものですか?

圧倒的な存在感を放つ、MARUZEN&ジュンク堂書店渋谷店の書棚。これだけの量の本ではあるが、相互の関連性などを考慮して工夫を施すなど、常に「動いている」という。

安齋 やっぱり全然違いますね。ジュンク堂が、比較的図書館に近い、学術的な分類をしているのは確かにそうなんですけど、やっぱりその時代によってすごく動きがあるので。図書館は基本的には分類番号がすべて決まっているんです。ですので、その中でどれを当てはめていくか、ということになります。

 ですが、書店では棚の構成がある程度自由なので。こういう本だったらここに置いてみたらいいとか、こういうテーマが出てきたからこっちの方に移してあげようとか。

 もうひとつ付け加えると、置く場所は決して一つだけではないのも大きな違いですね。

――書店には書店なりの流動性や工夫のしどころが存在すると。

安齋 そうですね。棚そのもののつくりや置いている本の量、そして「こういう本もあるのか」という出会いを提供できるのは、図書館も書店も同じですけどね。