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ソーシャルメディア進化論

【第11回】
東日本大震災が見せたソーシャルメディアの可能性

フィールド調査からわかった被災者たちの意識の変化

武田 隆 [クオン株式会社 代表取締役 兼 最高経営責任者]
【第11回】 2011年10月11日
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自衛隊員がTwitterにつづった被災地の日常

 被災地から寄せられる情報も、より豊かなものになっていました。ここではひとつの印象的な事例を挙げたいと思います。

 普段はイラスト投稿サイトにイラストを投稿していた、あるTwitterアカウントがありました。このアカウントの主は実は自衛隊員。震災直後から、彼はTwitter上に淡々と被災地の状況や救助活動について投稿しはじめました。

 そのアカウントが発信するメッセージは、決して暗いものではなく、いつも抑制した筆致でつづられていました。被災地の大変な状況。そのなかで心が折れそうになりながらも救助活動に邁進する自衛官の姿が目に浮かぶようなものでした。ときにはアニメネタやゲームネタなど、日常の何気ないネタが織り込まれることもあります。

 衝撃的な映像もなければ、被災地の直接的な記述もほとんどない。それでも、このアカウントのつぶやきを読めば、たとえ時間の経過とともにマスコミの震災報道は減っても、被災地の状況は続いていて、そこで黙々と任務を遂行している等身大の人たちの姿が伝わってきます。このつぶやきの主である自衛隊員には、Twitterを通じて様々な激励や寄せられていました。

 またTwitter上にはこのほかにも、たとえば被災地を通る高速道路に鳥取ナンバーの消防車が走っているのを見て日本中が被災地を支援していることを実感した、という投稿も見られました。このつぶやきを見た人がリツイートをしたことでメッセージが拡散され、多くの人が「自分たちも何かできるのではないか」と感じるきっかけになりました。

 今までインターネットを「便利な情報ツール」として見ていた方々の少なくない数が、東日本大震災を機にインターネット、とりわけソーシャルメディアでの心あたたまるコミュニケーションを経験したことで認識を変え、「インターネットは人と人とがつながり合うメディアなのだ」と感じ始めています。

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武田 隆
[クオン株式会社 代表取締役 兼 最高経営責任者]

日本大学芸術学部在学中の1996年、前身となるエイベック研究所を創業。クライアント企業各社との数年に及ぶ共同実験を経て、ソーシャルメディアをマーケティングに活用する「消費者コミュニティ」の理論と手法を開発し、複数の特許を取得。その理論の中核には「心あたたまる関係と経済効果の融合」がある。システムの完成に合わせ、2000年同研究所を株式会社化。その後、自らの足で2000社の企業を回る。これまでに森永乳業、ライオン、資生堂ジャパンをはじめ、300社超のマーケティングを支援。ソーシャルメディア構築市場トップシェア(矢野経済研究所調べ)。2015年、ベルリンと大阪に支局を開設。著書『ソーシャルメディア進化論』は松岡正剛の日本最大級の書評サイト「千夜千冊」にも取り上げられ、ロングセラーに。また、CSR活動の一環としてJFN(FM)系列ラジオ番組「企業の遺伝子」のパーソナリティも務める。1974年生まれ。海浜幕張出身。


ソーシャルメディア進化論

花王、ベネッセ、カゴメ、レナウン、ユーキャンはじめ約300社の支援実績を誇るソーシャルメディア・マーケティングの第一人者、エイベック研究所の代表取締役 武田隆氏が、ダイナミックに進化し続けるソーシャルメディアの現在と未来に独自の視点から迫る!

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