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ソーシャルメディア進化論

【第11回】
東日本大震災が見せたソーシャルメディアの可能性

フィールド調査からわかった被災者たちの意識の変化

武田 隆 [クオン株式会社 代表取締役 兼 最高経営責任者]
【第11回】 2011年10月11日
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繭(コクーン)化の問題を
ソーシャルメディアは解決できるのか?

 相互にコミュニケーション不能な状況が続けば、それぞれに無縁な社会が出現します。この繭化の問題をソーシャルメディアは解決できるのでしょうか?

 かつて福沢諭吉は「ソサエティ(Society)」という英語を「社会」ではなく、「人間交際」と翻訳しました。社会というと堅く動かない固定されたものという印象を与えますが、人間交際となると柔らかく変化する人々の自由な交わりを想像させます。

 ソーシャルを社会と訳せば、ソーシャルメディアは「社会的メディア」となり、やはり生真面目で退屈な印象となります。これを「人間交際メディア」や、社会よりはもう少し楽しげな言葉である「社交的メディア」と訳してみれば、ソサエティは私たちの交際や社交の力で変化させることができるものだという気持ちになってきます。

 現在に蔓延する「自分と社会は無縁である」と感じる諦観。かつて宮台氏が「仲間以外はみな風景」と表現したように、限られた小さな仲間内のグループで固まり社会との接触が薄くなっていく現象は、私たちの生活のあらゆるところで見られます。

 むしろ大半の人々が、このシステム化していく世界の片隅で、自分が社会から求められることなんてないのではないかという疑念を抱えているのではないでしょうか。

 人類が手にした新しいメディアであるインターネットは、「個人の力を最大化させ、それらをつなぎ合わせる」というコンセプトを持って生まれました。

 インターネットのコミュニケーションは時空間を超えます。言語、歴史、国境、あらゆる制限を超えていきます。

 対話によって生まれるコンセンサス(意見の一致)だけが、さまざまな二項対立や利益相反を止揚させ、隔絶している者たちの間に橋を架けることを可能にします。

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武田 隆
[クオン株式会社 代表取締役 兼 最高経営責任者]

日本大学芸術学部在学中の1996年、前身となるエイベック研究所を創業。クライアント企業各社との数年に及ぶ共同実験を経て、ソーシャルメディアをマーケティングに活用する「消費者コミュニティ」の理論と手法を開発し、複数の特許を取得。その理論の中核には「心あたたまる関係と経済効果の融合」がある。システムの完成に合わせ、2000年同研究所を株式会社化。その後、自らの足で2000社の企業を回る。これまでに森永乳業、ライオン、資生堂ジャパンをはじめ、300社超のマーケティングを支援。ソーシャルメディア構築市場トップシェア(矢野経済研究所調べ)。2015年、ベルリンと大阪に支局を開設。著書『ソーシャルメディア進化論』は松岡正剛の日本最大級の書評サイト「千夜千冊」にも取り上げられ、ロングセラーに。また、CSR活動の一環としてJFN(FM)系列ラジオ番組「企業の遺伝子」のパーソナリティも務める。1974年生まれ。海浜幕張出身。


ソーシャルメディア進化論

花王、ベネッセ、カゴメ、レナウン、ユーキャンはじめ約300社の支援実績を誇るソーシャルメディア・マーケティングの第一人者、エイベック研究所の代表取締役 武田隆氏が、ダイナミックに進化し続けるソーシャルメディアの現在と未来に独自の視点から迫る!

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