②外部不経済
~地球温暖化は最大規模の外部不経済

 次に「外部不経済」ですが、これは公害を思い浮かべてみればわかるでしょう。あるモノを作るのに最新の浄化設備を導入してまったく有害物質を出さずに作る会社と、何の環境対策もせずに公害をまき散らしながら作る会社が市場で競争したら、公害をまき散らす方が同じモノをより安い価格で提供できますから公害会社が競争に勝ってしまいます。

 しかしこういった会社は明らかに人々の利益に反します。このように競争市場の外で発生する経済問題を外部不経済といいます。外部不経済があって、会社や人の行動が、他の会社や他の人に迷惑をかける場合は、政府は的確に規制する必要があります。

 地球温暖化など、世界的に環境問題が注目されていますが、これはまさにグローバルに進展する外部不経済に、どうやって世界各国が取り組むかというむずかしい問題です。環境問題は今後ますます重要な国際的な課題になっていくでしょう。

 最近ではエコ利権というものまで生まれて、なんとか補助金を引き出そうという政治活動もさかんなようです。政府は特定の企業に補助金を出すのではなく、環境問題に関してもフェアな競争が行なわれるようなしくみを作らないといけないでしょう。

③公共財の提供
~警察と軍隊が市場に任せられないワケ

 みっつ目の「公共財の提供」ですが、これは灯台とか、公園とか、警察のようなものを思い浮かべてもらえばわかるでしょう。こういったモノの共通点は何でしょうか?

 それはむずかしい言葉でいうと非競合性と非排除性です。

 非競合性とは複数の人が同時に使っても取り合わなくてもいいことです。たとえばアイスクリームはひとりの人が食べたら別の人は食べることができません。アイスクリームは競合性があるのです。ところが灯台は、多くの船や飛行機がみんな利用できますが、だからといって減るモノではありません。公園も多くの人が利用できます。警察があることにより町の治安はよくなりますが、この安全は町に住む多くの人が同時に享受できます。これが非競合性です。

 非排除性とは、簡単にいうと料金を払わない人にサービスを止めることができないことです。たとえば灯台ですが、誰もが使えますから利用者みんなから料金を取ろうとしても、抜け駆けして無料で使う人にサービスをストップすることができません。

 公園もそうです。有料の国立公園も確かにありますが、気楽に立ち寄れる公園では利用者から料金を取るのはむずかしいでしょう。警察の治安維持を有料にしても、やはり町の住民で料金を払わない人のところだけ治安を悪くすることはできません。

 このように非競合性と非排除性があるモノやサービスを公共財といい、市場による自由な競争では必ずしもうまくいかないことがわかっています。ただ乗りを防げないので民間企業がサービスを提供することがむずかしいので、公共財は税金で面倒を見た方が効率的なことが多いのです。軍隊などは典型的な公共財で、市場にまかせるわけにはいきませんね。