「つまみ食い投資」で重視するのは
投資の練習ができる商品
しかし、投資を始めるのであれば、あれもこれも「つまみ食い」に向いているわけではありません。
「投資の練習」も兼ねているわけですから、私が重視するポイントはまず、
・コストが安くて儲けの足を引っ張らない
・値動きの理由がシンプル、または調べたら理解できるもの
・買う、売るの練習がしやすい
という3点です。
本書では、お勧め商品をいくつかご紹介していますが、まず最初の一歩として試してもらいたいのは、『日本株のインデックスファンド』です。それを購入してそれから、興味の持てそうな商品を「つまみ食い」してみてください。
日本株のインデックスファンドは、日経平均株価に連動する値動きをめざして運用されるファンドと、TOPIX(東証株価指数)に連動する値動きをめざすファンドがあります。ほかにも業種別や地域別などのものもありますが、それは避けましょう。
日経平均株価の動きはテレビのニュース番組でも報道されますから、はじめは日経平均株価に連動するタイプがいいでしょう。ニュースをチェックすればファンドのおおよその動きも分かるというのが、大きなメリットです。
日経平均株価やTOPIXが下がるということは「日本の景気がよくないから?」「海外の株式市場の影響?」など、経済の大きな動きに興味を持つきっかけにもなりますし、次第にどんなときに、どんな要因で株価が動くのかが分かるようになります。
投資は、買って売ってひとつの経験であり、買っただけでは経験になりません。指数がどの程度動くのか(基準価額がどの程度動くのか)が分かってくれば、売るタイミングもつかめるようになります。私はTOPIXに連動するインデックスファンドを持っていますが、買う際には、いくらになったら売るかを決め、実行するようにしています。
最近はノーロード(購入時手数料無料)のものや、運用管理費用(信託報酬)のコストが抑えられたファンドも増えています。低コストであるというのも、『つまみ食い』にぴったりです。
「分散投資」にこだわらずに
好きなものを買い足していく
「つまみ食いをしていくと正しい分散投資ができないのでは? 」と思った人もいるかも知れません。
たしかに国内だけに投資していたのでは、日本の経済が悪化したときなど、大きなダメージを受ける可能性があります。最近の投資のセオリーとして、国内の株式と債券、海外の株式と債券という、伝統的な4つの資産を併せ持つのが、分散投資の基本と言われています。
しかし、これに関してはあまり難しく考えなくてもいいと私は考えています。一番大事なことは、自分の持っているお金を特定の投資先に集中させないことです。
つまり、自分の資産を円グラフに表したときに、その4つの資産をきれいに4等分にするようなきれいな円を作ることにとらわれるよりも、興味が持てる商品を少しずつ試してみるほうが大事だと思います。
なぜなら、最近は日本株とアメリカやヨーロッパといった主要な外国株はほぼ同じ値動きをする傾向にあり、国際分散の効果は期待しにくくなっているから。また興味がないものを義務のように持つのはストレスになりますし、興味がなければ値動きの理由を把握するのも面倒になり、売り時を逃すといった失敗につながりかねません。