面接は0.1点の争い。
小さなエラーをなくす。
エラーとは何か。

  いったい君のライバルは誰なのか?
  就職試験の志望者には3つのタイプがある。
  1 公務員上級職もソニーも資生堂も三井物産もフジテレビも電通も、どこを受けてもことごとく内定をとってしまうタイプ。
  父親が国会議員で、本人は海外留学している間に、英語はもちろんフランス語とアラビア語がペラペラになってしまい、いずれは父親の経営する地方のテレビ局を継がなければならないのだが、本人は大学に残って勉強したいなんて言ってる人。
  2 ミーハーな会社は全部記念受験したが、すべて1回戦で敗退。自分はサラリーマンには向いてないと悟ってしまう潔い人。
  3 当落線上にひしめき合っていて、誰が通って誰が落ちてもおかしくない人たち。

  君はまさに、3のグループにいるのだ。
  そして君が戦わなければならない相手も、まさに3のグループなのだ。
  試験というものは、かつて君が受験で経験して知っているように、ボーダーライン上が一番混み合っているのだ。
  ちょっとしたケアレスミスで何年かの苦労が水の泡になってしまうのだ。
今さら10点も20点も点数を上げられないけど、0.1点なら上げられる。

  ボーダーライン上の君は、10点も20点も上げる必要はないのだ。0.1点上げるだけでいいのだ。
  0.1点を拾うには、練習が有効になる。
  たかだか10分やそこらで人間を判断されてはたまらない、と君は言うかもしれない。
  そういう人はサラリーマンには向いていないから、ペンションでも経営したほうがいい。
  ビジネスの現場では10分で商談を進めていかなければならないのだ。

  たかだか10分というけれど、面接を受ける志望者はその10分の間に、100個以上もエラーをする。
  そのエラーを半分に減らすだけで、君はかなり上位で通ることができる。

  その100個のエラーとは何か。
  それを、これからケーススタディを進めながら、説明していくのである。
  野球の試合と違って、面接の場合、自分がエラーをしたことにすら気づかないことが多いから難しい。
  面接官はただニコニコ笑って君を落とすだろう。
  競争率が5倍ぐらいまでなら、試験は「通すための試験」だが、就職試験のように競争率が30倍とか50倍とかになると、試験は「落とすための試験」にならざるをえない。

  いかにエラーを少なくするかが勝負の分かれ目になる。

  毎年行っている「面接達人塾」では、みんなの前で模擬面接をするようにしている。
  模擬面接を受けている人よりそれを見ている人のほうがより勉強になる。
  他人がするエラーは、自分のエラーよりはっきり見えるからだ。
  自分ではファインプレーのつもりでも、実はエラーであることが、面接には多いのだ。
  せっかく君たちのいいところがありながら発揮されず、エラーをするたびに、90%→50%→30%と合格の可能性がダウンしていく。
  君のいいところを200%見せることはできない。

  面接官はプロだ。君たちのハッタリなんかが通用するようなやわな相手ではない。
  だから、かぎりなく100%に近い形で君を伝えようとするのが目標だ。
  そのためには、エラーをできるだけ少なくすることだ。
  エラーを少なくするには、エラーを一度経験しておくことだ。
  経験する前に、エラーをなくすことはできない。

エラーがわかれば、
エラーをしなくなる。
練習でとことんエラーしておく。