本当に仕事ができる人とは
なかでも基本となるのが「相手に好かれるスキル」です。
相手を説得するにしても、好感度をもたれているのといないのとでは、大きく結果が違ってきます。そればかりか、次の仕事にもつながりやすいというメリットがあります。
相手に動いてもらうことで相手が幸せになり、こちらも幸せになる。そんな関係をお互いの間に築くことができる人こそが、本当に仕事ができる人なのです。
本書ではそのためのヒントを、具体的な行動に落とし込んで紹介しています。
「あなたとのビジネスは気持ちいいから、この提案に乗りました」
「あなたの言うことなら信じてみよう」
そんなふうに言われるコツを、心理学的な見地から解き明かしていきます。
人を動かす基本は、人に好かれること
「人を動かす」とよく言いますが、あくまで人は自分の意思で「動こう」と思って動くもの。力尽くで動かそうとしても、良い結果が生まれることはありません。
では、どんなときに人は動くのでしょうか?
一つ言えるのは、人は好きな人からの働きかけには応じやすいということ。
心理学で「初頭効果」と言いますが、人は第一印象で「感じのいい人だな」と思った人の言動は、好意的にとらえる傾向があります。
自分に対する相手の好感度が高ければ、防衛本能はゆるめられます。
「人を動かすこと」の前提には、「人に好かれること」があるのです。
似たもの同士は好きあう同士
では、人に好かれるためには、どうすればいいのでしょうか?
人は、どんな順番で人を好きになるかを調べた実験があります。
実験は、ある学生寮で行われました。寮のなかの見知らぬ者同士で、まず仲良くなったのは自分の部屋に近い人でした。
次に仲良くなったのが、同じ郷里の人間や同じ趣味をもっている人。つまり自分と共通点の多い人たち同士が、まず仲良くなったのです。
心理学では、これを「類似性の法則」と言いますが、人は自分に似た人と一緒にいると安心するのです。
「自分と同じようなところを持つ人間なのだから、いい人間に違いない」と好意を持ってくれることが多くなるのです。
「失礼ですが○○は、お好きですか? 私も好きなんですよ」
もし、相手が自分と同じ趣味を持っていたら一言、そう話しかけてみてはどうでしょう。
仕事のことには口が重くても、自分の好きなことに関しては、とたんに饒舌になる人は少なくありません。相手の好きなことを話しているうちに、「君がそう言うのなら、その案でやってみようか」と、仕事に結びついたという話もよく聞きます。