「今」の自分との「関係性」が
生きているモノを選ぶ
もちろん、他者の価値観であっても、自分が主体的に取り入れているのならいいのですが、自分にいい影響を与えていないこともしばしば。
そうした価値観・観念も、モノと同時に一度“棚卸し”をし、不要ならば手放していく。
自分が感じた違和感に正直になるのも断捨離の重要なプロセスです。
そして、「時間軸」は「今」です。
ところで、長年、モノと人との関わりを見続けてきて、「捨てられない……」と嘆く人のタイプには、次の3つがあることがわかってきました。
●現実逃避型…多忙で家にいる時間が少ないため、当然、家のメンテナンスは先送りのタイプ。家が散らかっているので、なおさらに家にいたくないという悪循環に陥っている。
●過去執着型…昔のアルバムや手紙など過去の遺物や記念の品を大事に取っておくタイプ。現実に目を向けたくないと同時に、かつての幸せな頃へのこだわりが隠されている。
●未来不安型…「ないと困る」「なくなると心配」など、いつか起こるかもしれない未来への不安要素に投資するタイプで、3タイプの中でいちばん多いのがこれ。
じつは、この3つのタイプにはある共通点があります。
それは、「今にいない」ということです。
「もったいない」「いつか使うかも」と意識が過去や未来に飛んでしまい、現在(今)と向き合うことから逃げている。
つまり「今」がぽっかり空いている。
もちろん、年に1度だけとか、慶弔の時くらいとか、使う頻度が少ないモノもありますが、頻度というよりも、「今」の自分との「関係性」が生きているかどうか、という視点で見ることが大切です。
この「関係性」というのも重要なポイントです。
私たちはどうしても、モノの利用価値や役割に目が向いてしまいますが、自分と生きた関係性があってこそ、モノの“活用価値”を引き出すことができるのです。
例えていうならば、どんなに美味しい料理であっても、その時に満腹であれば「美味しい」とは感じません。
モノと自分との関係性は、時間とともに変化する。
あるいは、同じモノでも人によって評価が異なり、関係性も異なることは、あらゆるモノ・コト・ヒトとの関係を構築していく上での大前提。
その意識を持つことで、要・適・快なモノがはっきりと見えてきますし、モノ・コト・ヒトを単純に正誤、善悪でジャッジすることから離れられ、他者を尊重する意識も芽生えてきます。
モノと向き合うことで自分軸に気づき、人間関係にも変化のきざしが訪れた方の一例をご紹介します。