しかし、その「個人の経験談」が、ほかの一般的な女性にもあてはまると考えるのは早計です。彼女が「活躍」できたのは、その奮闘が認められるような環境が、たまたまそこにあったおかげかもしれないからです。
なぜ女性は「入社2年目」で昇進をあきらめるのか?
ロールモデルもダメ、うまくいった個人の自分語りもダメ……そうだとすれば、何が現実を変えられるのでしょうか? そこで見ていただきたいのが、次のデータです。
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注目すべきポイントは2つです。まず、入社1年目の段階で管理職志向には大きな男女差があること。入社1年目の男性は94.1%が管理職を目指したいと考えているのに対し、女性でそう答えているのは64.7%。男女でじつに30ポイントほどの開きがあることになります。みなさんの実感と照らし合わせてみて、いかがでしょうか?
しかし、より重要なのはもう1つの点です。2年目以降も継続して「管理職を目指したい」と考えている男性は、9ポイントほどしか減っていませんが(85.2%)、女性ではなんと20ポイント以上の減少が見られます(44.1%)。驚くべきことに、職場での日々の仕事をしていくなかで、入社2年目の段階にキャリア見通しを「下方修正」する女性がかなり多くいるというわけです。
データ上にここまで大きな男女差が出ているとなると、女性のモティベーションを一気に低下させる「構造的要因」の存在が推測されます。これは、本人の努力や個人の資質だけに着目して女性の労働問題を語っていてはなかなか見えてこない「現実」です。
個人がどれだけ成果を上げられるか、どこまで成長できるか、どんな価値観を持つかといったことは、本人の努力もあるのですが、彼女たちにどのような職場でどのような仕事を任せるかに大きく左右されます。予告的に言えば、女性活躍推進に最も必要なのは「(1)女性たちが働く職場づくり」と「(2)キャリアステージに応じた支援」なのです。