顧客数が伸びなくなったら
してはいけない5つのこと

 顧客減、そして今までの営業手法が効かなくなると、もちろん営業部門は焦ります。しかし、抜本的な解決ができなくても、目の前の目標はクリアしなければなりません。
 ここで立ち止まって考えることが大切なのですが、改善策が見つからないと、これまでのやり方に固執し、かえって拡充してしまったりします。

そして、その段階になると、「してはいけないこと」がほぼ出揃います。

(1)割引や無料など、「安い」を売り物にする
(2)「今なら〇〇」とタイミングを強調。それを休みなく継続する
(3)プレゼントで目を引こうとする
(4)代理店やフランチャイズ任せにする
(5)自社の商品やサービスの価値を忘れる

 この5つは当時のWOWOWもやっていたことです。

どの項目も事態を悪化させますが、その後の営業施策が自社の価値から離れたものになっていくという意味で最も深刻なのは、(5)の「自社の商品やサービスの価値を忘れる」ことだったと私は思います。

 価格施策は、消費者に得るものを金額でイメージさせるものです。それに対して、商品やサービスの本質的な価値は、理解してもらうのに手間や時間などの説明コストがかかり、相当な工夫と努力が必要です。

 しかし本質的な価値を顧客に認められずに「割引価格だから」購入されている商品やサービスが長く愛されるわけがありません。価格施策が必ずしも悪いわけではありませんが、「今なら安い」やプレゼントは、価値を理解した顧客に、最後の決断の背中を押すために使用するものです。

 当時の社長の号令で解約抑止策が始まるまで、WOWOWの販促施策とは価格施策のことで、新しい施策を考えるとは「いかに新しい割引パターンを作るか」を考えることでした。
 このように割引のバリエーションばかり考えていると、自分たちが営業するサービスの価値が何なのか分からなくなってしまいます。顧客減少の本質的な理由はここにあったと私は考えます。

(続く)