(3)世界中の貿易路の安全が保障されないため、自ら軍隊を展開して、さまざまな土地を占領する必要があった。最古の小麦生産地であるエジプトは、過去2000年ずっと、他国の侵略を恐れ続けていた。

(4)英国、フランス、スペイン、ポルトガル、オランダなどは、世界中に植民地を確保した。東南アジアは欧州の支配下に置かれ、搾取され続けた。後発のドイツは植民地が少なく、資源確保のために、ロシア(ソ連)や英仏に戦いを挑んだ。

(5)日本は、朝鮮半島、台湾を植民地とし、中国東北部(満州)と東南アジアから搾取しようとした。中国は、外部の干渉を受け続けて、国の基盤を固める安全な環境を得られなかった。

 要するに、米国が第二次大戦後の同盟体制を築く以前とは、それぞれの国が、領土の安全の確保、資源の確保、市場の確保のために、お互いを「敵」として警戒し合う必要があった。米国が「世界の警察官」をやめて、世界各地から撤退しつつある現在、少しずつ昔に戻りつつある感じがしないだろうか。

さまざまな国が米国抜きで稼ぎ
米国を「食べさせる」仕組みを作るべきだ

 しかし、米国が「世界の警察官」をやめるから、その他の国々は昔に戻る、というだけでは芸がない。米国に守られ、米国市場に自由にアクセスできたことで、奇跡的な高度経済成長を達成した日本やドイツのみならず、韓国、台湾、オセアニアの諸国、北米大陸、西ヨーロッパ、そして後には共産主義の大国である中国までもが、歴史上前例のない安全と豊かさを享受しているのだ。それをただ失うだけというのでは、もったいではないか。

 米国に「守ってもらい」「食べさせてもらう」ことで多くの国が生きられるということを超えた、新しい国際社会を築かねばならない。まず変えるべきは、それぞれの国が米国の方ばかりを見ていることだ。端的な例が、日本と韓国である。両国とも、米軍が国内に駐留し、東西冷戦期には、米国が共産主義と対峙するフロントラインの役割を果たした。

 だが、日本も韓国も、米国と対話しようとするばかりで、お互い直接対話することには積極的ではないのではないか。米軍に依存してきた安全保障についてなら、それも理解できる。しかし、歴史認識問題のような、純粋に日韓の間の懸案事項でさえ、米国が間に入らないと、まともに話し合えないことがある。