日本語でも悩むメールがスラスラ書ける! 総合商社で磨き抜かれた「生きた英語」とは?
「値下げ要求をスマートに断りたい」「代金の未払いをやんわりと伝えたい」「商品をさりげなく売り込みたい」。あなたならどう書きますか?
三井物産の商社マンとして、約40年間、第一線で活躍し、退職後は慶應義塾大学、早稲田大学のビジネススクールで教鞭をとる定森氏の新刊、『人を動かす英文ビジネスEメールの書き方ー信頼と尊敬を勝ちとる「プロの気くばり」』から、内容の一部を特別公開する。
これが、最低限の「常識」です
メール固有の約束ごととして、ネット上のビジネスコミュニケーションを円滑に行う必要なエチケットがあります。
それはネチケット(netiquette = network + etiquette)と呼ばれるものです。グローバルビジネスコミュニケーションの常識として押さえておくべきものは、次のとおりです。
ネチケット1 送信前に必ず読み直す
ネチケット2 返信は早めに出す
ネチケット3 大文字を乱用しない
ネチケット4 感情的な表現を排除する
ネチケット5 転送は承諾を得てから
以下、個々のネチケットについて説明します。
ネチケット1
送信前に必ず読み直す―「ノーミス」はプロの「気くばり」
パソコン上でメッセージをチェックすると、目が疲れているときはミスを見つけにくいものです。重要なメッセージはすぐに送信しないで、一度プリントアウトしてから入念に読み返すようにしましょう。
数字や金額などの重要情報のミスは、大きなトラブルに発展します。メールソフトのスペルチェック機能をフル活用しつつ、少しでもミスを減らすことを心がけましょう。
送信先をアドレス帳から拾う際も細心の注意が必要です。誤送信に気づいたら、すぐ相手に連絡し、メールの消去を依頼しましょう。
ネチケット2
返信は早めに出す―相手の緊急度への「気くばり」
Eメールの最大のメリットはスピードです。瞬時に情報が伝わりますから、メールの送受信は頻繁に行いましょう。
グローバルビジネスではスピードが命です。急ぎのメッセージが未開封のままだと、プロとしての信頼を失います。できるだけ早く開封し、返事を書く習慣をつけましょう。
返信期限がある場合は厳守します。やむを得ず遅れそうな場合は、その旨、メールですぐに伝えましょう。また、重要メッセージを受け取ったときは、受信確認メールをすぐ送るのがプロとしてのネチケットです。
出張や休暇などで不在になる場合は、不在時の自動応答メッセージを利用し、「いつまで不在になるのか」、そして「不在時の急ぎの連絡先」を必ず書きます。
(2月14日(金)の午前中まで不在になります。できるだけ早くお返事を差し上げます。私の留守中は、春野夏子(内線1234)または秋山冬彦(内線5678)にご連絡ください)
ネチケット3
大文字を乱用しない―威圧感を与えない「気くばり」
文面にむやみに大文字を使ってはいけません。大文字で書くのは、読み手を見下し、「大声で怒鳴っているかのような印象」を与えるので、大変失礼なことだと認識しましょう。
文中で強調したい普通名詞の頭文字を大文字にするのも極力避けます。同様に、すべてを小文字で書くのもNGです。すべて大文字で書くよりはまだ不快感は軽いのですが、読みにくさという点ではあまり変わりません。「正しくシフトキーを押すのを怠けている」という、だらしない印象を与えますので、これも慎むべきです。
ネチケット4
感情的な表現を排除する―冷静さは「気くばり」の基本
メールでは、声の抑揚や顔の表情によって冗談か本気かを判断することが、基本的にはできません。英語のユーモアや微妙なニュアンスによほど精通していない限り、自分からぞんざいな表現や非難めいたジョークを書くのは控えたほうが賢明です。
相手が自分に対して、どの程度気を許しているかを十分察してから徐々に相手のペースに合わせるようにしましょう。
また、手紙やFAXと同様に、メールでは、感情的な表現や怒りをストレートにぶつける挑発的な表現を使ってはいけません。例え相手が挑発めいた表現をしても、冷静に対応するのです。
怒りをあらわにしたメッセージを書いてしまった場合は、送信する前に最低1~2時間程度頭を冷やし、読み直しましょう。
「そのメールを出すことで相手に何をさせたいのか」
「その文面で、こちらが期待することを相手は進んでやる気になるのか」
「そのメールを出すことで、相手との取引(信頼)関係が断絶されることにならないか」
これらをよく考えて文面を書き直すようにしましょう。仮に取引を打ち切ると決めた相手に対してでも、悪意むき出しの感情的表現の応酬は、プロがすることではありません。
ネチケット5
転送は承諾を得てから―相手の権利保護への「気くばり」
相手から自分宛に送信されてきたメールでも、勝手に第三者や不特定多数の人に転送することは禁物です。単に失礼になるだけでなく、場合によっては著作権やプライバシーを侵害することもありうるからです。社内の業務に関連するメールはともかく、社外の人からのメールには十分気をつけましょう。
内容によっては、事前に相手の承諾を得る必要があります。相手の同意が得られることがほぼ間違いないと思われるような場合でも、許可を求めることによって、プロとしての信用を高めることにつながります。
ウェブ上の情報には、著作権に配慮しなければならないものがたくさんあります。メールを送る相手にそれらを引用する場合は、事前に著作権者の承諾を得たうえで出典を明らかにしましょう。時間的に間に合わない場合は、本文の引用ではなくURLを記載します。