解約の芽は早めに摘む
加入翌月と3ヵ月目の解約を攻略してみると、それ以降のどの時期の解約抑止にもそれが良い影響を及ぼすことがわかりました。
実際、「一通り番組を見てしまったように思い飽きたと感じる」を理由とする6ヵ月目の解約も、加入翌月や3ヵ月の解約抑止施策によって見たいジャンル・番組に出会う加入者が増えることで減少しました。
最初の3ヵ月の解約を攻略し、解約の芽を早期に摘んでおくことができれば、その後の解約の可能性も減少し、無料キャンペーンなどで、無理やり加入数を稼いで解約の穴を埋める必要もなくなるのです。
これは会員制サービスや継続利用を前提とするサービスでは共通して言えることです。
まず最初の1~3ヵ月の顧客動向と自社サービスの利用のされ方をしっかり把握することが重要で、そこで得た知見をもとに、顧客と自社サービスの関係を強くすることが、多くの顧客に安定的にサービスを利用し続けてもらうことにつながります。
もちろん、解約が落ち着く2年目以降や長期利用の顧客にも解約があり、考え方によってはそれは早期解約より根が深いとも言えます。しかし、長期加入者の解約はボリュームが小さく、早期解約抑止策のような、ルート別、加入期間別の施策というより、商品やサービス(WOWOWは番組編成)で対応していくことが適当です。
ちなみにWOWOWでは、顧客が見たい番組をストレスなく見られる仕組みはその後、2012年に導入した「WOWOWメンバーズオンデマンド」につながりました。
これは公式サイトで登録した加入者が、番組が放送されるのとほぼ同時に、または放送終了後一定期間、スマホやタブレットに配信される番組を見られるサービスです。加入者は時差を気にせず海外スポーツを出先で見たり、ドラマを録画しなくても、放送後一定期間中はスマホやタブレットで見られる仕組みで、多くの加入者に喜ばれ、加入の継続に貢献しています。
(続く)