大切なのは「解約する気を
起こさせなくする」施策
加入2~3ヵ月目には「録画しすぎて見られない」と言ってやめていく方が少なくありませんでした。そこで、「見たい番組を探しやすくする」仕組みを公式サイトや毎月送付するプログラムガイドに導入しました。
このタイプの解約には、やみくもに録画予約する前に本当に楽しめる番組をどうやって見つけるか、の案内が重要だからです。
WOWOWでは、3つのチャンネルを24時間放送していることを、広く選択肢を提供しているという意味で、「売り」として伝えていました。それは今でも変わりませんが、売りにするには、顧客が自分の嗜好にあった番組を探しやすく、視聴しやすくする案内や仕組みが必要でした。
プログラムガイドでは、映画、スポーツなどのページで見たい番組を見つけやすいように、またWOWOW公式サイトでも、関心のある番組を検索できるように改良を行いました。
それまでプログラムガイドや公式サイトなどの自社メディアでは、視聴率(WOWOWでは利用率と呼びます)の高い、目立つ番組にスペースを割きがちでしたが、この時からは局が見せたい番組だけでなく、顧客が見たい番組を、が編集方針に加わりました。
顧客視点の情報提供の重要性に気づいたのは大きな収穫でした。直接的な効果は数値では測りにくいものの、時間がたつにつれて顧客全体の視聴時間が増加し、解約が生まれにくい土壌につながっていきました。
加入から6ヵ月以上経過した顧客には「一通り番組を見てしまったので、飽きたと感じる」という解約理由が多いのですが、この方たちも、加入の時に見たかったジャンルや番組だけを見て「一通り見おわったから飽きた」と感じていました。他にも興味のありそうなジャンルの新番組や、出演者や制作者初めに見たかった番組と共通する番組の放送予定をメール、DM、プログラムガイドで知らせることで、解約防止に努めました。
こうした施策で、解約申し出をする前に解約する気を起こさせなくするように努めた結果、解約抑止策がスタートする前と3年目の2008年度では、加入数に対する解約数の割合が127%から94%と、約30ポイントも改善したのです。