アーモンドで「体重の調整」ができる
10年後にマテス教授が臨床栄養学の専門誌『ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・クリニカル・ニュートリション』で発表した同様の研究は、2型糖尿病予備軍の成人137人を、ナッツ・シード類をまったく食べない群から、1日1.5オンス(約43グラム)のアーモンドを1ヵ月間食べた群まで5つの群に分けて追跡した。
結果、「アーモンドはスナックとして摂取した場合、摂取テスト中に空腹感と食欲を抑える効果もあった。……アーモンドの集中的および長期的摂取は、体重を調整するのに役に立つ」。
これらの結果は、一見筋が通っていないように思える。脂肪分たっぷりのナッツをよく食べる人の体重が増えず、場合によっては減ることさえあるなんて、なぜそんなことが起こるのだろう?
ほとんどのナッツは「満腹値」が高い、つまり「食後に満腹感を覚える」ため、食欲を抑える効果があるのかもしれないと、マテス教授は指摘する。
昔から栄養士が食事の前にナッツを何粒か食べなさいと勧めるのも、このためだ。
また別の可能性として、ナッツを摂取すると基礎代謝が上がり体内の化学反応が加速するため、エネルギーやカロリーの消費が増えるのも一因かもしれない。
そのほか、ナッツはきちんと嚙まずに飲み込むことが多いから、カロリーの一部しか吸収されないという説もある。そして最後の点として、ナッツは砂糖たっぷりではないのに満腹感が得られる理想的なスナックだから、ポテトチップスのような太りやすいスナックと置き換えれば、摂取カロリーをかなり抑えられるというメリットもある。
(本原稿は書籍『ハーバード医学教授が教える健康の正解』からの抜粋です。続きは本書でお楽しみください)