ナッツを食べるとやせる
具体的に、ナッツのどの成分に健康効果があるのかはまだ特定されていないが、ナッツに関する最も意外な発見といえばもちろん、減量や体重維持に役立つというものだろう。
ナッツの食べ過ぎは太るというのが、長年の通説だった。
カシューナッツ1粒は約8~9キロカロリー、アーモンドは7キロカロリー、ピスタチオは3キロカロリーだ。実際、カロリーが高く太りそうだからという理由で、ナッツの常食を避ける人も多い。
だがうれしいことにいまでは多くの研究が、ナッツのせいで体重が増えることはほとんどないとしている。
2013年のスペインの31件のナッツ摂取に関する研究のメタアナリシスでは、参加者の大半がほとんどまたはまったく体重が増えず、「健康的でバランスのとれた食事にナッツを加えることで、インスリンを安定させ、空腹を抑えることができる」と報告された。
食事の一部をナッツに置き換えた参加者は、体重が平均約635グラム減り、ウエストは約1.3センチ細くなった。
栄養学分野の専門誌『アメリカン・ジャーナル・オブ・クリニカル・ニュートリション』に掲載されたこの研究は、「これらの効果は大きさこそ控えめだが、この結果によりナッツの摂取が肥満を促すという不安は払拭された」と結論づけた。
ナバラ大学医学部の予防医学・公衆衛生学科によって行われ、2007年に肥満医学の専門誌『オベシティ』に掲載された、同じくスペインの研究は、8865人を28ヵ月間追跡した結果、ナッツを週2回以上食べた人は、ナッツを食べなかった人に比べて、体重が増加する確率が31%低く、また体重が増加した人だけを比較しても、週2回以上食べた人は食べなかった人に比べて、増加幅は約半分だった。
パデュー大学食品栄養学教授リチャード・マテス博士は、ナッツの栄養価を10年以上研究している。博士は栄養学の専門誌『ジャーナル・オブ・アメリカン・カレッジ・オブ・ニュートリション』に掲載された2003年の研究「ピーナッツ摂取が心血管リスクの指標を改善する」で、健康的な成人15人を対象に、30週にわたり3段階の試験を行った。
第1段階では、参加者は1日の食事のうち500キロカロリー分の脂肪を500キロカロリー分のピーナッツに置き換えた。第2段階では、食事はふだんと変えずに、500キロカロリー分のピーナッツを追加した。第3段階では、各自が好きな方法で食事にピーナッツを取り入れた。
結果、どの段階でも心臓疾患の重要な危険因子であるトリグリセリド値の有意な低下(最大で24%減)が見られた。また同じくらい興味深いことに、「1日500キロカロリーのピーナッツを8週間追加しても、体重の有意な変化は認められなかった」とマテス教授は述べている。