節約を続けるための秘策とは?

柴山 続ける大切さで思い出すのは、我が家の家計のことです。私の場合は、財務省時代と同じように「予算」をつくっていまして(笑)。住居費、光熱費、通信費、外食……って予算を立てていくと、全然足りない!という状態が「見える化」されるじゃないですか。しかも貯蓄もしたいし、と思ってかなり切り詰めて、欲しいものをずっと我慢し続けていた。すると、自分も家族もだんだんギスギスして、しおれた植物みたいになってしまって。ちょっと水を挿さないとまずいと思って、一時的に普段よりほんの少し多くお金を使ったら、家族がすごく元気になったんです。これって私だけの経験ですかね。そういう方は多いものですか。

風呂内 みなさん、同じような経験があると思いますよ。好きなものを諦めると、やっぱり続けられないんです。たとえば、好きなものをことごとく諦めて1ヵ月5万円浮かせたとしても、頑張りすぎた反動で元の生活に戻ってしまうと、1年で貯められたお金は5万円しかないですよね。でも、自分にとってたいして重要じゃない5000円を毎月削っていくと、1年で無理なく6万円貯められます。だから、劇的に下がる5万円じゃなくて、自分にとって大事じゃなかったことに使っていた5000円を探す作業をしていただくとよいと思います。

柴山 何にお金を使うかという優先順位は一人ひとり違うから、ケースバイケースで見ていくほかないんですね。

風呂内 たとえば、飲み会が好きで終電を逃してはタクシーで帰っていたとしても、それが大好きで欠かせないという人にとっては削るべきお金ではないんですよね。一方で、別に飲むのが好きでもないしタクシー代がもったいない、そのぶん洋服に使いたい、と思えるなら、交際費は削る対象でしょうしね。

柴山 夫婦だと、お互い何を削るかというのでケンカになりそうな……共働きだと家計管理が別になっているケースも最近では多そうですね。

風呂内 年代にもよりますけど、20-30代だと夫のほうがお金管理に詳しいから任せてしまって、奥さまのほうは小遣いをもらっているというケースも増えています。もう少し上の50-60代では圧倒的に奥さまが管理されているケースが多くて、やりくりの大変さを夫が知らないから、「俺は平均より稼いでいるはずなのに、なぜこんなに貯まらないんだ。お前が浪費しているんだろう」と言われてケンカになった、という話はよく聞きます。

稼いでいるのにお金がたまらない…そのわけは?

柴山 稼いでいるのにお金が貯まらない、という感覚はすごくわかります。前職の外資系コンサルティング会社で感じたんですけど、どうしても周りの人たちの生活水準に合わせてしまうんですよね。身なりや持ち物、子どもの学校など、周りの人がこうだから自分も、と思ってしまって、収支が赤字になる人も多かったです。

風呂内 そういう方は多いです。おそらく収入が平均より低い方のほうが、支出をシビアに見ていらっしゃる。一方で収入が高い方は、平均より倍は稼いでいるから一般の倍は使えるはず、という大雑把な計算になりがちなのではないでしょうか。典型的なのが、年収1000万円前後の方です。所得が高いという意識をもちやすくて、タワーマンションを買いたくなったり子供を私立に通わせたくなったりされるんですけど、すべて実現するには意外と厳しい収入レベルです。さらに収入が多い方でも同じ傾向があることを、いま柴山さんに伺って確信しました。

柴山 アメリカでは、日本人以上にクレジットカードを使いすぎて過大な借金を背負う人が非常に多くて、社会問題化していますよね。解決するにも、いきなり支出を減らすとなるとストレスがすごくかかるので、将来収入が増えたときにその増加分の半分だけ貯蓄と資産運用に回すという方法がトレンドになっているようです。会社で日本の財形制度のように天引きで積み立ててくれるところもあるらしくて。日本の場合は、先進国で唯一給与が減っているので、そのまま応用はできないかもしれませんが。給与が増えたときに周りの人の生活水準に無理して合せた結果、赤字の罠に陥ることが多いと思うので、そこを抑制する仕組みは日本でも何らかできそうですよね。

風呂内 たしかに、収入が増えたときに生活水準を上げないことが、赤字収支から逆転できるチャンスなんですよね。(後編につづく