桜蔭・雙葉・豊島岡女子・渋谷幕張…。東京・吉祥寺の進学塾VAMOSは、「入塾テストなし・先着順」で生徒を選抜しないのに有名難関校に続々合格させると話題の塾だ。男女別カリキュラムを取り入れたロジカルで科学的な学習法は、特にエリート父親層から圧倒的な支持を集めている。本連載では、VAMOSの代表である富永雄輔氏の最新刊『女の子の学力の伸ばし方』(ダイヤモンド社)の内容から、子どもの計画・理解・反復・習慣のプロセスを体系化した「女の子の特性」に基づく学習法をお伝えしていく。

女の子の学力を伸ばすコツは「ハードルが高い目標」を設定しないこと

約束事をしっかり守る

 信頼関係を築けていて、その関係性の中で言葉を駆使して表現した内容については、女の子は非常に大切にしてくれます。つまり、決めた約束事は守ってくれるのが、女の子の素晴らしい特徴の1つです。

 とくに、小学生という幼い年代において、決めたことを守る優等生はたいてい女の子で、それができない男の子は怒られてばかりいます。

 「○○君、なにやってんのよ。ダメじゃない!」

 「先生、○○君のルール違反、許していいんですか?」

 自分には一銭の得にもならないのに、こんなお節介を焼く女の子が、VAMOSにもたくさんいます。

 そもそも、女性の脳は男性の脳よりも「陳述記憶」に強く、「あのとき、こう言ったでしょ」ということをよく覚えています。一方、男性の脳は、一度泳げるようになるとずっと泳げるといった系統の「非陳述記憶」に長けています。

 そのため、言葉による約束を男性はすぐに忘れてしまうのに、女性は覚えていて、恋人たちの揉め事のタネになるわけです。

 この傾向は、小学生の頃からしっかりと見て取れます。だから、父親はおよそ軽い気持ちで娘と約束をし、それをすっぽかすようなことはしてはいけません。娘のほうは、その約束を守るために全力投球しているのですから。

 これが、中高生にもなると、以前の自分への反動で手を抜くことを覚えていく女子も多いのですが、小学生の頃は良くも悪くも責任感が強いので、ルールを遵守しようとするし、できなければそんな自分に大きなショックを受けます。

 ここを考慮し、あまりハードルが高いルールをつくらないことが大事です。女の子が、「信頼している親のために、このルールを守るのが楽しい」と思える程度のことに留めましょう。

 たとえば「毎日30分漢字の練習をする」「嫌いでも算数の計算問題を1日に10問は解く」くらいのことでいいでしょう。

 間違っても、「○○中学校に合格するって、お母さんと約束してね」などと言ってはなりません。