「柔軟な働き方」の会社への転職、
なじめなくて早期退職の危険性
政府が力を入れている「働き方改革」推進の効果や人手不足対策もあって、社員が柔軟に働けるようにするため、裁量労働制やフレックスタイム制を導入する企業が見られます。こうした制度を整備している企業は一見、働きやすそうに見え、転職先候補として魅力的に見えますが、果たして本当にそうでしょうか。
裁量労働制とは仕事の遂行方法や手段、勤務時間などを社員の裁量に委ねる制度。フレックスタイム制は1日の勤務時間を固定的に決めず、あらかじめ定めた一定期間の総労働時間の範囲で毎日の勤務時間を社員が自分で決めて働く制度です。
裁量労働制は労働時間を実際の労働時間ではなく一定の時間とみなすことが悪用され、長時間労働が常態化し、労働災害が発生したケースが報道され、強い批判を浴びました。
こうした問題のある運用を行っていない会社でも、転職先候補としては気を付けておいたほうがよい点があります。それは上司や同僚と直接顔を合わせる時間が減るために新人の育成が難しくなることです。転職する側から見れば「育成してもらえない」ということになります。
最近、当社でも中途社員を2名採用しましたが、見ていると新しい会社に慣れるまでは2~3ヵ月かかります、しかも濃密に関わって。先日もみんなで会食に行っていましたが、そういうことも全部ひっくるめてやらないと、組織の一員になるのは大変です。
日本企業はいろいろな人が関わり合いながら仕事を進めていく「すり合わせ型」であることが多いので、会社や職場に慣れることは重要です。もし上司や同僚と関わり合う機会が少ない会社に転職したら、流れに身を任せるのではなく、自分からいろいろな人を捕まえて教えを請うたり、自分の仕事に周囲を巻き込んだりして積極的に関わっていかないと、絡めずなじめずの状態に陥り、早期退職に追い込まれる危険性があります。