2019年4月に罰則つき残業規制がスタートすることもあり、「働き方改革」は喫緊の課題となっている。そんななか、プレッシャーが増しているのがプレイングマネジャー。個人目標とチーム目標を課せられるうえに、上層部からは「残業削減」を求められ、現場からは「仕事は増えてるのに…」と反発を受ける。そこで、1000社を超える企業で「残業削減」「残業ゼロ」を実現してきた小室淑恵さんに『プレイングマネジャー 「残業ゼロ」の仕事術』をまとめていただいた。本連載では、本書のなかから、プレイングマネジャーが、自分もチームも疲弊せずに成果をあげるノウハウをお伝えしていく。

職場の生産性を劇的に上げる「業務マニュアル」の秘密とは?

定型業務は徹底的に「マニュアル化」する

 チーム内の業務のマニュアル化は、職場の効率化に大きな力を発揮します。
 定型的な業務をマニュアル化しておけば、その業務が発生したときに、誰でも手順に沿ってスムーズに対応することができます。途中でいちいち判断に迷うことも減りますし、手順を間違えてリカバリーにムダな時間を使う必要もなくなるでしょう。

 また、担当者が急病などで休まざるをえなくなったときも、他のメンバーがサポートすることが容易になりますし、その日に入った新人でもその業務を担当できるようになるので、「業務の属人化」(詳しくは連載第22回)を避けることにもつながります。マニュアル化は、チームの生産性を高めるうえで、非常に大きな効果を発揮するのです。

 なお、マニュアルばかりだと、メンバーが何でもマニュアルに頼らなくてはならない「マニュアル人間」になるのではないか、と心配する方もいらっしゃいますが、コンサルティングに入ってクライアントの現場を見ていると、むしろ逆のことが起きていることがわかります。

 なぜなら、定型的な業務をマニュアル化することによって、それまで一から考えていた時間を大幅に削減することができるので、そこで新たに生まれた時間を使って、多くのビジネスパーソンはよりクリエイティブな仕事にチャレンジするようになるからです。そして、それまでよりも高度な課題に取り組むようになることで、大きく成長していくようになるのです。

 マニュアルはシンプルなもので大丈夫です。
【下図】は、私たちの会社で作成しているマニュアルの一例です。

図33−1

 ご覧のとおり、「作業の手順」をワードに箇条書きで書き起こしているだけのものが大半です。もちろん必要であれば、画像などを貼りつけることもありますが、その場合も、レイアウトに時間をかけることはありません。作成するハードルを下げるためにも、マニュアルはシンプルに「読めばわかる」ものにすれば十分なのです。

 そして、作成したマニュアルは、「共有フォルダ」のなかに「広報業務」「イベント準備」など、業務ごとにつくったフォルダに保存します。ここに、その業務に関するメールなどのテンプレートや主な連絡先、関連資料などもまとめて保存しておけば使い勝手がいいでしょう。