【西條剛央×佐宗邦威】環境に合わせて「自分を変える」が、もはやナンセンスになった[特別対談(後編)]
佐宗 EMSがまさにそうですが、今まで誰もやったことのないプロジェクトって、最初にメンバーのあいだで「なんかいけそうな気がするよね!」という思いを共有できるかどうかが大きな分かれ道になると思います。みんなの脳と脳がつながっているような感覚を、メンバーが持てるかどうか。
西條 そうした感覚を持てる「場」をつくることは、僕も大切だと思いますね。EMSで大事にしているカルチャーの一つに、「肯定ファースト」があります。これは、自分の心を尊重すると同時に、必ず相手の心もまず尊重する姿勢のことです。
というのも、「肯定ファースト」こそが、創造性が発揮されるための条件だと思うからです。歴史を振り返ってみても、たとえば哲学において本当に創造性が発揮された時代はごく一部です。ギリシア時代と近代に入ってからを除くと、哲学ですらあまり発展していない。たとえば、中世のキリスト教世界のように、「絶対的に正しい神」みたいな前提があると、「肯定ファースト」が阻害されてしまう。逆に、そこをちゃんと整えたとき、哲学はものすごく発展していきました。
そうした「場」って、ある程度は人為的に整えられると思っています。「場」をつくることによって、みんながそもそももっている力が普通に引き出されていくのが理想だと思いますね。
(対談おわり)